Fishing2017釣行記 早春の渓
早春の渓
 
  
[報告者]高瀬賢一 

 メンバー:高瀬、渡辺
 
 
 
 
 
 今はそれ程釣れる川ではないが、かつては魚影の濃い川であった。


 釣り仲間の植松氏からの電話で「 高瀬さん 凄い川を発見したよ。 」と興奮した様子で伝えられ、15年程通い詰めた。今からではもう35年も前のことである。


 今でも年に1〜2回は通うが、渓相が素晴らしいので、釣果を度外視してキャンプを楽しんでいる。その当時は釣れれば小さいのを除いて、ほとんど持ち帰っていたが失敗であった。


 「 川が枯れる。」まさしく岩魚のいない川は、この表現の通り寂しい川となってしまう。燻製にしたり、味噌漬けにしたり、知り合いに差し上げたりと馬鹿な事をしていたと反省しきりである。








 源流に足を運んだ者だけがその恵みを分けて頂ける、貴重な宝だったのだと言うことを。

 もうだいぶ前から私がリーダーで川にはいる時は、一人二匹まで、(その日食べるだけ)と決めている。幸い毛ばり釣りの場合、ほとんどが魚の口元に針掛かりするので、手袋を濡らしさえすれば魚を傷めずに放流することが出来る。昔からの素晴らしい渓はそうして守ってはいるが、所詮焼け石に水でどんどん魚影は薄くなる一方で寂しい限りである。


 この沢も例外ではないが、まだいくらかの釣果は有り何と言っても渓相が素晴らしい。特に草木が芽吹く新緑の頃、周囲が紅葉に染まる頃、いつも決まった場所で野営する。定番の焚火、星空、うまい酒、一人の時も仲間との時もテーブルと椅子に腰かけて時間を過ごす。





 サルの群れに出会ったり、子熊が道を横切って行くのを見たり、枯れた大きな立ち木の高いところにコゲラの巣穴を見つけたりと、毎回いろんな発見がある。


 写真に収める事はなかなかできないが、記憶の本棚に収められていて、時々妙に懐かしくなる。





 


(たかせ けんいち)
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