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サンデークラフト |
−切れ味確かな削り出し−カスタムナイフ作り |
山本諦治 |
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カスタムナイフ作り |
神奈川県相模原市 山本諦治さん(62)歳 |
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数ある機械に目がいってしまったが、「実は手作業の部分の方が多いんです」と話す山本諦治さん=神奈川県相模原市の「東京マイクロ研究所」で |
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鏡のように輝く手づくりナイフ |
神奈川県相模原市内。まだ周囲に畑が点在する広々とした住宅地の一角に、都内の下町でよく目にするような町工場がある。中に入ると、一般にはほとんどなじみのない特殊機械が所狭しと並び、東京マイクロ研究所と書かれた看板から、精密機器の製造を行う会社であることが分かる。
平日は無論、通常稼動の機械たちだが、その小気味よい音は時に、休日でも聞こえてくることがある。それは経営者の山本諦治さんにとっての趣味の時間。鋼材を一本一本丁寧に削りだし、仕事とは全く無関係のナイフ作りに精を出しているのだ。
もともと刃物類が好きだったことから、コレクションとしてカスタムナイフを集めていた時期もあった。ところがある日、「ナイフは集めるものじゃない、使ってなんぼのもの」と友人から指摘されてしまう。それ以来、購入して集めるのではなく、「自分で作りたいという気持ちが強くなった」と話す。
記念すべき第1作のエピソードも面白い。渓流釣りを趣味とする山本さんは三年前、友人らと秋田の川へと出かけた。その晩、お気に入りのナイフを「あげる」と公言してしまった。
「朝起きると『昨日くれると言ったじゃないか』と友人が言うんです。けど私は酔っていたので何も覚えていない。ならば作ってやろうじゃないか、となって・・・」
いつかは作ってみたいと思い描いていた構想が、酔った勢いで少し早まった、というわけ。友人の言った言わないのささいな口論が、結果的に背中を押してくれたということだろう。
特徴は、人目でわかるように刃の先端から柄の末端まで、完全な削り出しであること。水辺で使うことを想定し、柄の部分に革を巻いたり、木をはめ込んだりといった装飾もあえて省いている。
「柄に何かを巻けば、確かに握りやすくはなると思います。でも水を吸って劣化するのは目に見えていますし、カビも生えることもあるでしょう。金属のままならメンテナンスはほとんど必要ないわけです。」
使用する鋼材はATS34と呼ばれる鋼。ステンレスほどではないがさびにくく、鋼の中でも硬い部類に入る。また硬さとともに粘りがあり、折れにくいことからこの鋼材を選んだ。山や川での乱雑な使用にも適している。
一見、武骨な印象を与えるデザインに対し、刃の部分は、まるで鏡のような輝きを放つ。これは丹念にヤスリがけした証でもあり、作業工程のほとんどが手作業であることを示している。
「工場の機械が使えるのは、大まかな形を出すまで。仕上げはすべて手作業なんです。それだけに完成が近づくとワクワクします。ようするに、物作りが好きだってことなんでしょうね。」
完成品の大半は、友人に提供。愛用者にとって、山菜やキノコ採りに欠かすことのできない必需品になっている。今はまさに山菜採りのシーズン。どこかの山できっと、今春も活躍していることだろう。
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(浦壮一郎、写真も)
東京新聞 2006年4月23日
サンデークラフトの記事より
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山や川などアウトドアでの使用を考えている山本さんの手作りナイフは、使いやすさを優先するためコンパクトな形状が特徴。刃渡りは、65−95_と短く、山菜採りなどで使用する際は「このくらいの大きさがちょうどよい」と言う。
使用する機械はカッターマシンと呼ばれる金属用の伝動ノコギリのほか、ベルトサンダーやディスクグラインダーなどの電動ヤスリ、ボール盤(ドリル)、平面研削盤など。このほか仕上げ用に金属用の平ヤスリを各種と、砥石(もいくつか用意しているいう。
手作業の部分は以外にも多く、なかなか機械まかせとはいかないようである。
【連絡先】
Eメール t.yamamoto@tokyo-micro.co.jp
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