私のテンカラ初釣行!!

 
[報告者] 平江 誠

メンバー:渡辺 肇 ・田宮貴男・平江 誠


 
 荒川での釣行の折、 「 釣りはやめたほうがいい 」 と皆に諭された私は、  ” 瀬畑雄三 ” 師より頂いた餌竿を自ら封印し、 テンカラ師として生きていくことを決意 ( そんなに大層なことではないと思うが・・・ ) した。 心の師匠は瀬畑雄三氏ただ一人であるが、 もっぱら釣り歩いている仲間でテンカラ釣りの名手といえば 、我が会でも有名な ” ドロガメ田宮 ” 氏ということで勝手に師匠に祭り上げ 、次回の釣行から指導を仰ぐことにした。 竿と仕掛けを師匠に合わせて購入、 もちろん毛鈎は自分で巻く。 巻き方は今から 5 年ほど前、 瀬畑師に教えてもらったバイスを使わない手巻きで、 胴は水道工事等に使用する黒い防水テープ、 止めに使うのはパンストをほぐしたナイロン糸となんともシンプルな材料ではあるが、 これが結構丈夫で魚の食いも良いらしい。 ( 本当だろうか? ) それはさておき、待ちに待ったテンカラでの初釣行の機会がやっと訪れたのでありました。

 新潟県の某沢に、 渓遊会の 3 人 ( 肇 ・ 田宮 ・ 私 ) で入渓。 夜半からの雨で本流は大増水。 渡渉もままならないまま、 予定の大分手前でテン場を探すことになった。 杣道のすぐ脇に何とか 3 人分のスペースを確保。 木の根や岩を取り除き、何とか整地を終え青シートの宿を拵えた。


 竿も出せずイワナも無しであったが、 着替えを済ませカップを持てばどんな状況でも天国に早替わり。 途中、仕入れたヒラタケとキクラゲを入れた麻婆春雨にまたまた酒が進む。 後はご多分に漏れず酩酊の世界へまっしぐらであった。


 気がつけば朝である。 何んとあれだけ降っていた雨があがり陽が射している。 おまけに濁流と化していた本流も澄んでいて、 水も引きつつあるではないか。 気を好くした 3 人は朝飯を済ませそそくさと釣りに出かけるが、 渡渉点の淵で早くも肇さんが 4 匹も釣り上げてしまった。 この時点で本日のまったり釣りコースが決定となった。 淵を巻きそのまま続く踏み跡を辿り本流に降り立つ。 丁度枝沢との出合いとなり、 3 人で枝沢の確認に向う。

 テンカラ釣り初挑戦の私に、 師匠の田宮氏が、 「 平江ちゃんが一匹釣るまでは竿を出さない 」 という。 後ろでは肇さんが餌竿を仕舞っている。 かなりのプレッシャーを感じつつも、 とりあえず毛鈎を結び、 素振りなどする私でありました。

 最初のポイントで師匠が流し方を伝授する。 言われた通りに毛鈎を落とすと、突然師匠が 「 きてるっ! 」 と叫んだ。 その声に思わず合わせるとズシッと重い手応え。 取り込んだイワナは見事な尺イワナであった。 がしかし、 何とも納得がいかず、 次のポイントに毛鈎を打った。 すると今度はイワナが出るのがはっきりと確認でき、上手く合わせることができた。 またまた尺物である。 興奮する私を二人は暖かく見守ってくれた。


 魚止めの確認をして沢を下る。 本流に戻り なおも釣りあがるが、 さすがに川幅の広い本流はポイントが絞りきれず、 餌釣りの肇さんの一人舞台であった。 それでもテンカラ組にも適度にイワナが掛かり、十分楽しむことができた。

 暫くすると右岸より流れ込む沢が現れた。 またまた 3 人で交互に釣りあがるが、 師匠の付きっきりの指導のおかげもあって、 ” ライズ ” あり ” 糸ふけでの合わせ ” ありと、 テンカラの真髄を味わう事ができ、 何とか田宮流テンカラ塾の門下に加えてもらうことができそうだ。

 本流出合いに戻り昼飯とする。 ラーメンにミズ菜を入れ、根っこをわさび醤油で頂く。


 当初予定のテン場まで釣りあがり満足して納竿とする。 戻る途中の杣道から、 田宮師匠が良い型のイワナを発見。  「 釣ってきな! 」 と言うので竿を出し、 何度か毛鈎を降り込むが一向に咥える気配がない。 たまりかねた肇さんがおもむろに餌竿を伸ばし、 見事に釣り上げた・・・と思ったら痛恨のバラシ。 良い型だっただけに本人もかなりの悔しがりようであった。 その上のポイントでも向こう合わせではあったがイワナが掛かり、 いよいよテンカラ釣りの魅力に引き込まれていく私でありました。

 その夜の酒はことのほか旨く感じられたが、 身体は正直なもので疲れを隠しきれず何時の間にか寝入ってしまった。

 素晴らしい渓と素晴らしい仲間に恵まれたおかげで、 初めてのテンカラ釣りながらこれからこの釣りを続けていける自信が持てたような気がします。 私の釣り人生の中で大きな転機となるであろう記念すべき釣行でありました。



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