宇都宮渓遊会酒飲み部隊 荒川見参![朝日連峰]

 
[報告者] 齊藤 敦
釣行日:2002/5/24〜26
メンバー:岩橋敏夫、渡辺 肇 、齊藤 敦
田宮貴男、渡部太郎、渡部文子

 
 今回は三面行きのリーダーを仰せつかり、責任上道路状況を地元に尋ねると蕨峠、村上方面とも当分の間通行不可とのことで急遽荒川に変更する。深夜の待合わせに多少のトラブルはあったものの福島飯坂IC付近で無事に栃木、埼玉組と合流する。
 本日の行程は角楢小屋までのため急ぐ必要もなく、齊藤宅にて花泉金印と秘蔵の自家製山ぶどう酒 10年物を振舞う。各 1 升をきれいに飲み干し、酔い醒ましの一休みを終える頃にはすっかり陽も登り目的地に向かう。

 通い慣れた道を順調に進め車止め到着。各自がパッキングに取り掛かると、何と太郎氏がビール 500 ml を 1ケース丸ごと持ち込むと言う。本来の源流釣行なら喉から手が出るビールも軽量化から最小限にというところではあるが、ご相伴に預かれる身分としてはヤル気満々のボッカ役を拍手で称えつつ小屋を目指す。



 一行は、眩いばかりのブナの新緑と残雪のコントラストをじっくりと楽しむハイカーと化し、程良い汗が出る頃にあっけなく小屋に到着する。まずは軽く入山祝いのつもりが「プシュー、プシュー」と何度も心地よい音が発せられ、もう 1 人のまったり宴会モードの自分を何とかなだめ、銘々が本流・支流と別れる。私は角楢沢に入り、不安定なブリッジの前で思案していると、別の沢に入ったはずの平江氏が 1 人後を追って来た。 

 事情を聞くと魚の姿もなく断念し、同行の田宮氏は小屋で休んでいると言う。田宮氏がただ何もせず休んでいることなど有り得ないが、ビールの量からして慌てることもなかろうと、ブリッジ下をなかば強引に潜り抜け更に上流に向かう。良いポイントが続くがF1を少し行ったところに大きな雪渓があり、以降も続きそうな渓相のため良型を 3 匹だけキープし小屋へ引き返す。本流組みもそこそこの釣果で宴会には早すぎる時間ではあるが、各自が持ち込んだ贅沢なつまみや山菜で大いに盛り上がる。7時を過ぎる頃には寝不足から脱落者も出始め、全員が良い子の時間の就寝となる。夜半のトタン屋根を激しく叩く雨に目を覚まされつつも、飲み直す気力もなくそのままシュラフに潜り込む。

 翌朝は昨晩に早めに休んだことで 2 時半に目が覚めてしまい 2 度寝をしようとしたが、会長もほぼ同時刻に起き出し、また「プシュー、プシュー」と飲み始める。すっかり陽が登り、遅めの朝食の準備をしていると、ひょっこりと会員の林出氏が釣友と二人小屋を訪ね鱒止めの滝近辺を帯同することにする。途中の登山道から直下の本流組と上流組に別れ大玉沢での合流を約束し、それぞれが目的地へ向かう。我々は大玉沢出合いから釣り上がるも、底石のヌルヌルしたコケが非常に歩き難く、摺り足での遡行に苦労させられる。



 さしたるアタリもないまま鱒止めへ、 2 段の釜は凄まじい水流で巻き込まれたら笑い話では済みそうもない。唯一タルミのある 1 段目右に竿を入れて見るも反応はない。あきらめて平水時の巻きルートである右岸を見ると取り付きまでは泳ぎを余儀なくされ、この水温ではその気になれない。また、左岸には上へ登る道が見えるがどこをどう巻かされるかの予備知識もない。
 まずは竿を畳んでと思っていた矢先、平江氏が釜の間の吐き出しを渡渉し始めた。危険なので止めるように大声で叫ぶが何とか渡り終え右岸へ立つ。我々も同じルートを取らなければメンバーが離れることになり、流木を杖に強引に突破にかかる。雪シロのず太い水流と不安定な底石に手こずるが何とか全員が渡り終える。

 滝上は数十メートルの区間川幅が圧縮され渡渉に苦労するが一気に両岸が開け広川原となる。予想外の大水さえなければどこにでも快適な幕場が得られそうである。この広川原からは魚影も濃くなり更に上部は核心部のようではあるが、時折疾風の如き強風が沢を駆け抜け、思うように竿がポイントに入らない。また、雪渓を通る風も冷たく早めの撤退とし、抜群のロケーションをバックに記念撮影を済ませ集合場所へ向かう。
 約束の時間には少し早いが程なく全員が無事集合し新鮮な刺身をつまみながらの昼食とする。各グループとも食すには十分の数に恵まれるが、肇氏が本流でバラした魚の大きさに悔しがる。(自称尺 5 寸)

 今宵の宴会は各自が体調十分で次から次へとでき上がる料理とともに「プシュー、プシュー」が何度となく繰り返される。特に小屋の周囲で取り、薪ストーブの灰でアク抜きをしたワラビは絶品で、油料理のしつこさと対照的で料理が益々はかどる。夜も更け最高潮に達した面々はおやじギャグ、下ネタで大いに盛り上がる。唯一の女性の太郎夫人はシュラフの中で我慢強く無視を続けていたが、突然外が風で騒がしくなり、稲妻と雷鳴が聞こえたのをきっかけに限界に達し、隣の無人小屋へ行ってしまう。稲妻が彼女を短気にした。イナズマタンキだなどと更に盛り上がり翌朝の数本分のビールを僅かに残し、持参の酒がどんどん空になる。焼酎を「ガブガブ」とストレートで飲み出した頃はさすがに堪え脱落者の高イビキが徐々に合唱、輪唱となり最後のバカ丸出し組も陥落する。

 朝は喉の渇きとともに目覚め、小用を足しに外へ出るとビールの空き缶が山のように置かれ、飲みも飲んだりと我ながら感心させられる。(他のアルミの燃えカスなども含め全て回収しました)が、外のバケツに冷やされたビールを手に小屋に戻りまた飲み始めいよいよ最後となった焼酎を酌み交わす。

 会長の「今日は 12 時下山」という酒飲みまったり部隊には願ってもない決定が出ると,またもや宴会状態となり下山準備を終えるまで酒呑みが続く。(小屋の使用料の支払と掃除はきちんと済ませました。また余ったタマネギなど日持ちのするものは次の方たちへ残してきました。)

 帰路は登山道のそこいら中にあるコシアブラをいただきながら進むとあっという間に車止めに到着し、下山ビールで無事の帰還を祝い夢のような 3 日間が終了した。

 太郎君、今度は八久和にビール頼むよ。



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