三面川支流 泥又川[朝日連峰]

 
[報告者] 高久明夫
釣行日:2003/9/ 5〜7
メンバー:小鷹 哲 、上田 勉 、平江 誠、 
田宮貴男 、渡部太郎 、高久明夫


 
  前回( 6 月末)の泥又釣行の際、リーダー太郎氏の迷案内により、戸立沢脇の尾根を登り稜線で彷徨い、危うく遭難しそうになったことがある。 4 時間でテン場に着くはずが 8 時間も歩いた挙句、降りた所は大明神滝の遥か下流であった。 3 日間の釣行日程のメインとなる 2 日目は、生憎の豪雨のために結局私は竿を出さず終い。おまけに帰りの尾根登りの途中、スズメバチに頭と右腕を刺され、これが本当の『泣きっ面に蜂』というものだ。 どうやら泥又川は宇渓会にとって鬼門のようである。

私はまだ二俣まで行ったことがないので、何としても今シーズン中にはリベンジを果たしたいと思っていた。 このままじゃシーズンを終われない! 前回参加した齋藤さん、瀬畑Jrは都合がつかず、今回は、上田さん、平江さんの両名が入れ替わる形となった。

 初日。栃木組は猿田野営場に 7 時到着。 東京組(小鷹さん、上田さん、平江さん)は 4 時頃到着し、大宴会を催したようで、ビールの空缶が山のように積んである。 上田さん、「遅いじゃねーかー!」 「だって、7 時って言ったの上田さんじゃないですか!」 「あ、そうか、ごめん、ごめん。」 小鷹さん、平江さんが気持ちよさそうに寝ているところを無理矢理起こし、身支度を整え 8:00 に出発。 今回のルートは前回の戸立沢からのルートではなく、赤イ沢からのいつものルートで行くこととした。猿田川を渡渉し赤イ沢に入り尾根を順調に登る。が、小鷹さんが呑み過ぎたようでペースがなかなか上がらない。 途中、いつもより多目に休憩を取りながらも予定の 4 時間で泥又川二俣出合のテン場へと到着した。


 幕営を済ませ、待ってましたとばかりに入山祝いの乾杯。 早速、釣りと休憩組に分かれる。 太郎氏は風邪を引いており、体調が良くないのでテン場にいるという。 小鷹さんは毎度のことだが昼寝モードに入っている。 平江さん、田宮さんは東俣に入るというので、私は一人西俣に入ることにした。 上田さんは本流を下り、釣り上がって来るとのこと。 
 西俣は出合から滝・淵が続き、テンカラより餌に分がありそうな渓相でアタリも今一つだ。 暫く釣り上がると真新しい足跡があった。 誰か上でテン場っているのだろうか? 魚もそこそこに釣れ、泣き尺を 2 匹キープできたので、テン場に戻ることにした。 二俣出合まで戻ると、ちょうど東俣から平江、田宮の両名が戻ってきた。 東俣はチビから泣き尺まで入れ食いだったらしい。 上田さんは本流を釣り上がって尺モノを 2 本キープしてきた。 
早速竿を出してみる上田氏

 テン場に戻ると、早速今夜の食事の支度と、テン場には欠かすことのできない焚火の準備を始める。まるでキャンプファイヤーの様に薪を積み上げる”上田式焚火”で薪に火をつけてみるが、湿っていてなかなか燃え上がらず、夜になって豪雨となったため、今夜は焚火無しとなってしまった。 焚火がないと何故か寂しく、宴会も盛り上がりに欠ける。 今夜は太郎シェフお得意のカレーと、たまには嗜好を変えて岩魚の竜田揚げ。 結構皆さんに好評だったようだ。 酒も進み寝不足で早めの就寝となる。

 2 日目。 昨夜からの豪雨で川は増水し、濁っていて釣りにならない。 昼過ぎまでダラダラと過ごしていたが、午後になって川の濁りも取れ、上田さん、太郎氏と共に東俣に入ることにした。 他の 3 人はテン場に居ると言う。 せっかく来たのにもったいない! 

 太郎氏は今回初めてテンカラに挑戦するという。 交互に釣り上がり、上田さんと私には魚が来るが、太郎氏の毛鈎にはなかなか来ない。 太郎氏が竿を出す脇で上田さんが立て続けに 2 本を上げ、「ワハハ!!」と笑っていた。 初めから簡単に釣られちゃ困るよ太郎君。 私はテンカラを始めて 7 年になるけど、未だ開眼できていないのだから。 太郎氏がやっと釣れ出してきたところで「体調が悪いのでテン場に戻ります。」と言うので、上田さんと更に釣り上がることにする。 上流に行くにつれて型が良くなり、尺モノを何本か上げることができた。 キャッチアンドリリースを繰り返しながら、 2 人とも充分な釣果に満足できたので、今夜のオカズにと 2 本だけをキープしてテン場へと戻った。
「ガハハ!」と笑いが止まらない上田氏

 テン場では 4 人がくつろいでおり、まるでキャンプファイヤーの如く焚き火が燃え上がっている。 今夜は太郎シェフが作るお好み焼きに、岩魚の刺身、岩魚の唐揚げに舌鼓を打った。
テン場では太郎シェフのお好み焼きに皆で舌鼓を打った

 3 日目。 5 時に目が覚めると珍しく全員(平江さんも)が起きている。 今日は帰るだけだと思っていたら、小鷹さんが、「西俣の魚止まで行ってくる。 12 時撤収。」と号令を掛けた。 朝食を済ませ、小鷹さんと平江さんが西俣へと出掛けて行った。
撤収までゴロゴロしていても仕方ないので、田宮さんと太郎氏をテン場に残して、上田さんと再度東俣に入ることにした。 時間が早いせいか、一向に毛鈎に来ない。 昨日釣った所は飛ばしてその先から竿を出すとやっと釣れ出し、何とか尺物も上げることができた。
 すると突然下流から声が聞こえるので、熊か!と振り返ると、なんと田宮さんがいるではないか! 「テン場からすぐだと思って追いかけて来たけど、随分歩きました。」と、息を切らしている。 2 人ともそこそこ釣れたので、ここから先は田宮さんにやってもらうことにした。 瀬続きで毛鈎に良い渓相だが、テンカラの名手である田宮師匠をもってしてもあまり魚が出ない。 何とか数匹を釣ることができ、そろそろ時間なのでテン場に戻ることにした。 

3日目にも竿を出す

 テン場に戻ると、太郎氏がご飯を炊き上げていた。 西俣の魚止へと出掛けた小鷹さんと平江さんはまだ戻って来ていない。 「12 時出発って言ったの小鷹さんだよね?」 「そう言えば 2 人とも時計持ってなかったよな?」 「しょうがないなー。」 以前、瀬畑Jrが「うちの会はいい加減だぞー。」と言っていた事を思い出した。 なるほどそう思う。 でもそのいい加減さが心地良いのも事実である。

 2 人を待っていられないので、先に昼食を済ませ撤収に取り掛かる。 2 人がやっと戻って来たのは、出発時刻の 12 時を回っていた。 テン場を綺麗に片付け、「ありがとうございました。」と一礼し出発する。
尾根までの急登を登り切り、 3 時間で赤イ沢に到着。 淵に浸かり汗臭い体を洗う。 猿田川の清らかな流れは縮み上がるほど冷たかったが、尾根歩きで火照った体にはとても気持ちが良い。
前回は竿も出さずに終わってしまったが、今回は 3 日間とも釣りができ、めでたくリベンジを果たすことができた。釣果にも恵まれ、とても楽しい沢旅であった。




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