ネマガリ筍採り [福島県土湯温泉]


[報告者] 瀬畑孝久
実施日:2004/6/12 〜 13
メンバー:齊藤 敦、林出政治
高久明夫、瀬畑孝久
 

  6 / 12 ・ 13 の両日、 福島県土湯温泉近くの鬼面山に 『 根曲がり筍採り  』 に出掛けた。 参加者は、 齊藤リーダー、 いわき市から林出校長先生、 栃木からは高久氏と私の計4 名が参加。 集合は、 福島西 IC に AM 3 : 00 の予定。 栃木県は、 前日の午後からかなりの雨が降り出し、集合時間を半日ずらそうかと相談をする程である。 巷では、「 高久氏と私は雨男」 とささや かれている。 そういえば 、昨年の 7 月に齊藤氏と高久氏と私の 3 人で石滝川に行ったときも、 福島飯坂 IC では、 車から降りることもできない程のどしゃ降りだったことを思い出した。

 予定通り 3 : 00 に福島西 IC に到着するものの、 相変わらず雨は降り続いており、 齊藤リーダーのお宅で暫く雨宿りをさせて頂くことになった。 寝酒にチョットのつもりだったが、飲みすぎて寝坊してしまった。 昨夜降っていた雨も上がり、 陽もかなり高くなっていた。 齊藤リーダーには図々しくも朝食までご馳走になってしまった。  8:30過ぎに齊藤リーダー宅を出発。 根曲がりを求め、 いざ土湯温泉近くの鬼面山(標高1,482 b)へと向かう。 土湯温泉を過ぎ、 山道をどんどんと上がっていく。 先頭は、林出先生が運転する 3.5 g のビッグホーン・プレジール。 後続は私の 3.2g のホライゾン(ビッグホーン)である。 どちらもガソリン車だが、 林出先生の車は快調に山道を登っていく。 排気量は、たった 300 CCの差だが、トルクの差を感じてしまった。

 目的地に近づくと、 駐車できそうな場所には、 既に地元ナンバーの車で一杯になっている。 あまりの車の多さに、 齊藤リーダーに 「 商売で根曲がりを採りに来てるんですか?」 と尋ねると、 みんな素人だという。 目的地に到着し、 身支度を整える。 私と高久氏は本格的には寝曲がり採りをしたことが無い。 釣りに行く途中で根曲がりを見つけ、少しばかり頂いてくる程度だ。 我々 2人は釣りはするものの、 山菜採り、キノコ採りだけで山には入ったことが無い。 高久氏は登山もするが、 私は竿を持たずに山に入ることは考えられないたちである。 私と高久氏の 2人は、いつもの源流釣りとさほど変わらない格好。いかにも「根曲がり採りは初めてです!」、という感じ。 それに引き換え、 齊藤リーダーと林出先生は、ポケット付の厚手の前掛けにスパイク付の長靴姿。そして肩からは山菜採用のアミ籠をさげている。

 支度が整うと、 高圧線に沿って根曲がりを探すことにした。 根曲がり採りでの事故は、 遭難と熊である。 根曲がりを探しながら藪をこぎ、 どんどんと奥へ進んで遭難してしまうケース。 それと夢中になって採っているうちに熊と鉢合わせしてしまうケース。 高圧線に沿って探せば簡単に道に戻ることができる。 熊が人の気配を察知しやすい様に、 声を掛け合いながら探す。

 最初は斜面の下から上に向かって探していたが、 根曲がりが下向きに生えているために藪こぎがきつい。 20 分も経たないうちに汗ダクとなってしまった。 直前に人が入ったようで、 根曲がりを採った真新しい痕が至るところにあった。 そのお陰で、 1 箇所にかたまって生えているところもあれば、 ポツポツとチョット伸びてしまった根曲がりが残っている所とハッキリ分かれている。 私はあまり好んで山菜採りしないが、 根曲がりを探しているうちに段々とハマってしまい、 私一人だけが藪の一番奥へと入り込んでしまっていた。

 そのうちに、 「 セバっちゃーん!そろそろ帰るベヨー!!」 と高久氏から呼ばれ、 高圧線を目指して下にある道へと戻っていく。 既に他の 3 人は根曲がりを取り終え、 一服しているところだった。 この後、 「 山を下りながら、今日食べる分を採っていこう!」 ということになり、 藪の中を下りながら探すことになった。 下りながら探すのは、目線が高くなり見つけるのは苦労するが、 藪こぎは非常に楽だ。 私は、 40 g のザックに約半分ほど根曲がりを採り、 背中に心地良い重さを感じていた。

 車まで戻ると、 「 昼飯を食ってから温泉で汗を流そう。 」 という事になり、 近くの沢に行って、 クーラーボックスから冷えたビールを取り出し、 まずは乾杯。 それから沢の水で茹でたそうめんを、お腹一杯になるまで食べた。 沢沿いの木陰で、 上流からの爽やかな風を感じながら、 銀マットの上でゴロリ。 暫く ” マッタリ ” とした時間を過ごす。

 風に乗ってハルゼミの鳴き声が聞こえる。 源流で魚止めを目指して、 あくせくと必死で歩くのとは全く違った時間である。 こんな日もたまには良いかも。 そんなことを考えていると、 齊藤リーダーが 「 温泉で汗を流して、 キャンプ場でゆっくりしよう!」 といった。 温泉は、この上流にある幕側温泉。 湯の花がいっぱいの露天風呂で汗を流す。 露天風呂の周りにはアイコやシャクナゲが植えられていた。 アイコを採って帰ってテンプラも良いな、 なんて考えてしまう。

 今日の宿営地は、 土湯温泉近くの荒川河川敷にある無料のキャンプ場。 夕刻にキャンプ場に入ると、 既にドーム型のテントが 2 張りあった。 我々はというと、 いつもの如くブルーシートをタープ代わりに。 橋の近くのブルーシート掛けは、 ホームレスの住居に見えなくも無い。 それでも今日は、 ポールだけは齊藤リーダーのタープ用のスチール製。 普段より、 チョッとだけゴージャスか? 私は素足にビーチサンダルでシートの設営をしていると、ブユの手荒い洗礼を受けた。 くるぶし辺りを何箇所も刺され、 何度もキンカンを塗っても、 なかなかカユミが治まらない。 テントの中がキンカンのアンモニアでむせるほどだ。 ブユのカユミと格闘していると、 齊藤リーダーが炭火で手羽先を焼いてくれた。 そして、クーラーボックスの冷えたビールでまずは乾杯! 酒が入ると、 齊藤リーダーと林出先生は福島弁で 「・・・・・・だんびした 」 を連発。 二人の会話はまるで漫才のようだ。 先生の話はとても面白く、 随所で下ネタとオヤジギャグをブチかましていた。 話口調も独特のものがある。 こんな先生がいたら不登校もなくなるのではないか、 と思ってしまう。

 オジサン4人の会話も弾んだ頃、今日のメインディッシュの 『 根曲がり筍の炊き込みご飯 』 と 『 根曲がりの味噌汁 』 を火に掛ける。 炊き込みは醤油で味付けをしているので、 話に夢中になっているとあっという間に焦げてしまう。 酒を飲みながらも、 ハンゴウからは目が離せない。 炊き上がりが近づくと根曲がりと醤油のいい香りに刺激され、 つまみを食って膨らんだはずのお腹が 「グーッ!」と鳴り出した。 寝る前の食事は太る素だと分かってはいたが、 ついついお腹一杯になるまで食べてしまった。 初日は根曲がり採りで疲れ果て、 21 時には全員が就寝した。

 昨夜は早く寝たはずが、 目が覚めたのは 6 時近く。 昨夜半には少し雨に降られたが、 今日は朝から快晴。 キャンプ場の管理人の方には、 5 時ごろ撤収して近くの塩ノ川に入渓すると伝えていたが、キャンプ場を後にしたのは 9 時を回っていた。 林道を上がり車止めにつくと、 他県ナンバーを含め 3 台の車が止まっていた。 どうやら入渓者が多い川のようだ。

 案内役は林出先生。 何度かこの川に来たことがあるという。 左岸についた道を 1 時間ほど歩く。 途中までは良く踏まれた道だったが、 途中からは突然藪がきつくなる。 ここまで来る途中、 眼下にはいくつかの滝といかにもという様な大淵が何箇所か目に入った。 皆んなここまでたどり着く前に沢に下りてしまうのだろう。 藪をこいで暫く歩くと、また良く踏まれた道になった。

 釣りキチのメンバーは、だんだん我慢できず 「 そろそろ降りますか?」 と口々に言いながら沢に下りる。 渓相は、 ゴーロあり、 淵あり、 滝ありとなかなかのものだ。 但し、 水は温泉が流れ込んでいるのか、 少し白っぽく濁っている。 岩魚はというと、 型は良くても8寸止まり。 入渓者が多い為か、 テンカラは竿抜けのポイントでしか魚が出てこない。 入渓して暫くの間は、魚の姿も見ることができず、 集中力も途切れた頃に不意に魚が毛ばりに出てきた。 ゴッツ!とあたりがあったが1匹目はバラシ。 私の直ぐ後ろでカメラを構えていた林出先生にしっかりと見られてしまった。 釣果は、餌釣りの齊藤リーダーが 4 、 5 尾で今日一番の型を滝壺で抜き上げた。 私と高久氏のテンカラ組みは 2 尾ずつ。 林出先生は、 栃木から来た我々に気を使ってくれたのか、 ガイドとカメラマンに徹し、 竿は出さず仕舞いだった。 それでも半日ほど、 ゆっくりと遊ばせてもらった。




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