Fishing2006釣行記 憧れの黒部本谷へ行く
憧れの黒部本谷へ行く
 
  
[報告者] 大塚八朗
釣行日:2006/9/1〜3
 メンバー:小池 卓、小鷹 哲、高瀬賢一
 寺尾一木(渓流師会)、大塚八朗
 
 
 
 
  憧れの黒部への釣行、BSでフライフィッシャーの釣行映像を一度みただけの知識しかないまま、大ベテランの方々にぶら下がって連れて行ってもらうことになった。 楽しみと不安、どちらかというと不安の方が大きい。 歩きの時間も長いし、船酔い派だし、梯子階段ツラそうだし・・・・・お〜、憧れの黒部よ〜。 まぁ、何とかなるか、ってなわけで8/31の夜に全員集合し、扇沢駅に向かう。 25:00の駅駐車場には既に多くの車が停まっており、黒部のスケールのデカさを実感する。

 到着祝いを少しだけやり、朝6:00に起床した。 2000m近い此処はとても寒い!パッキングを済ませ、トロリーバス乗り場へ向かう。 登山者の人達が大勢いる中、デカいザックを背負って乗り込む。 地下足袋に乗馬ズボンの私は、多分異様に見えたに違いない。 まさか、釣りとは思われてなかろう。


長い歩き前のダムにて
意外と静かな音のダムの放水
こっちには私達5人しか向かっていない

 登山者の皆さんとダム付近でお別れし、平ノ小屋を目指す。 湖岸がクネクネで距離が長い。 「遊覧船で行ければ30分なんだけどな〜」と小池さん。 小鷹さん、寺尾さんはトットコトットコと足軽に歩いて行くが、ピッチリTシャツ乳首クッキリ小池さんと社長体格の高瀬さんと私は休んでは少し歩きのノロノロ歩行である。 キツイ階段梯子を幾つも上ったり、降りたり、3時間くらいで平ノ小屋に到着した。


タコの足のような根っこを潜る山道
キツイ階段梯子が続く
疲れを隠す紳士高瀬氏

 針ノ木まで渡してもらう。 バックウォーターを見る限り、減水気味である。 流れ込む沢も伏流水となって流れ込んでいるようである。 見えない伏流水に太ももまで埋もれながら歩いていく。 減水気味といいながらも渡渉には黒部らしさの押しを見せつけられる。 平水だったら、一体どれほど凄いものか、予想すら出来ない。


渡し船に乗り込む
バックウォーターから見る減水気味の黒部

 何とか今回のテン場、東沢出会いに到着できたが、みんな疲れきっている。 大型ザックの小池さんは、さすがにヘロヘロ状態である。 ビールを冷やしつつ、テン場の設営を済ませる。 テン場と沢の落差がかなりあるが、平水だと相当な川幅なのだろう。 そのお陰でビールを取りに行くにも一苦労である。 さ〜て、到着祝いの乾杯!!黒部の沢で冷やしたビールは格別である。みんな、イイ顔で飲んでいたのが印象的だった。 若さはないものの、昔のコカ・コーラのコマーシャルを思い出してしまった。 はっはっはっは!

  マズメ近くにちょっと釣って来ますと、ロッド片手に本流のブッツケを少しやってみた。 「うぉ〜、ライズしてるっ!!」しかし、流れが複雑でドラッグの回避が困難な感じがした。 黒部と言えど、出合付近で相当スレているはずである。 どんな大物か!?果たしてうまく流せるかと思う気持ちで、久々の緊張・・・・・。 ストーキングを完璧にし、夏色バージョンのぶら下がりグリーンパラを長目のティペットに結び、慎重にキャストすること3投目、「バシャッ!!」遅アワセをくれるとガツンと右手に重みを感じる。 黒部本谷の黒い淵にベージュの腹をクネリクネリさせながら、良型が掛かった。 手繰り寄せると、なんともキレイな尺イワナだった。


「会いたかったよ〜。」、初の黒部イワナに感動
Dr.寺尾氏が特製チャーハンを料理中
眼前に聳え立つ下の黒ビンガ

 戦後、黒四ダムが建設される前、平からこの付近まで三人の職漁師がテリトリーを守りながら生活していたと聞く。 1日60〜100尾の釣果だったらしい。

 しかし、今現在ではどうなのだろう?明日からの釣果が気になるが、今日は一先ず宴会突入だ。今回は、てんぷらが最高な小池さん、多彩な料理を繰り出す高瀬さんが一緒なので、つまみがいい!!夜空には満点パパもビックリの満天の星空だ!ん〜、最高のひと時、お〜、黒部よ・・・・・。


減水気味の本谷を遡行していく
高瀬名人が好ポイントを攻める
巨岩と重い黒部の流れ

 さて、二日目。 今日は、小池さんは東沢、残りの四人は本谷を遡行する。 天気も素晴らしい。 すぐに下の黒ビンガがそびえ立つ。 減水気味の本谷は楽に渡渉できる。 何度か黒部の経験のある小鷹さんは半分の水量だと言う。

 魚が走るまでと渡渉して行くが、途中何度か黒部の流れの力強さに圧倒される。 パワフルな小鷹さんが先頭で泳ぎきる。 ザックを浮輪代わりに引き上げてもらうが、黒部の冷水が股間にシミる! 途中で追い越した沢屋さんも一緒に引き上げた。 日が高いうちに流れに身を任せながらテン場へと向かう。 ここでも小鷹さんの遡行技術を学ぶ。 激流の瀬をピョンピョン飛ぶように、まるで鹿のように下って行く。 私も真似てやってみるが、途中でコケてしまった。 まだまだじゃのー・・・・・。 行きで気付かなかったが左岸の谷に凄い雪渓があった。 9月に入ったというのに今年の雪の多さを物語っていた。


なんとか釣った本谷の7寸イワナ
強靭な肉体の頼りになる小鷹氏
9月に残る左岸の雪

 テン場に着くと小池さんが何やら探し物をしている。 なんと、奥の入れ歯を無くしたらしい。 昼寝の前に外したのだという。 5人であちこち探してもなかなか見つからない。 すると、小鷹さんの目に一筋の銀光が入った。 昼寝した付近に埋もれかかっていたのである。 さて、入れ歯も小池さんの歯茎に納まり宴の始まり!と思ったら、何やら頭がチク痒い。 ヌカカの襲撃である。 焚火を盛大にやるも、虫除けをやるも刺され放題。 ハゲ坊主の私の頭はキンカン漬けとなった。 ネットを被った高瀬さんは、ネットにヌカカを仕舞いこんでしまってまた刺され、料理も何も出来ない程である。 暗くなってようやく開放され、宴会開始!てんぷらにイワナ料理、今日も満天の星空である。 お〜、黒部よ・・・・・。


 3日目、減水気味な事と、帰路の時間配分を考えて、とりあえず針ノ木を目指す。 針ノ木小屋は泊まりに使用出来ない状態だったらしい。 釣りもどうだろうとの事で、結局皆帰ることで同意しトロリーバスの時間目指しての帰路となった。

 バックウォターから望む立山連峰が「また来いよ。」と眼前で出迎えてくれている。 観光アナウンスの遊覧船を尻目に歩きの始まりである。 ザックは幾分軽くなってはいたが、左膝に激痛が走りはじめる。 20cmの段差でも下ろす足を左足からでないと歩けない。 20年前にツイストで痛めたジャンピングニーが再発したのだ。

 休むと歩き出しで更に激痛が走るので、ほぼノンストップで乗り場まで歩いた。 ケツの谷間も擦り切れてチクチク痛い。 お〜、黒部よ・・・・・。


入れ歯を探す小池氏。 焚火厳禁の赤ハンゴーが何故か黒い。
立山連峰をバックに記念撮影
無事帰還し、慰霊碑の前で追悼と記念撮影

 黒部の雄大さに抱かれて充実した3日間であった。 絶対また来よう!今度来る時は、もう少したくましくなっていないと。 帰ってきた今、黒部の魅力に取り憑かれたように、先人、先輩方の記録を読み漁っている。




(おおつか はちろう)
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