Fishing2006釣行記 森の贈りもの
森の贈りもの
 
  
[報告者] 本宮和彦
釣行日:2006/9/9〜10
 メンバー:齊藤 敦、大塚八朗
 本宮和彦
 
 
 
 
 待ち合わせは飯豊の道の駅、ここから楽しい私達の源流釣行が始まった。 「おはよう〜!!」夜中の1:00過ぎにも関わらず齊藤さんは元気だ。 今回の釣行でも、一緒に遊べる八ちゃんも後ろでニコニコしている。 私のパゼーロに荷物を積み替え、いざ目指すは険しい山塊に流れると或る沢。

 一頻ひとしきり車を走らせ薄暗い車止めに着くと、今回のリーダーである齊藤兄貴の「カンパ〜イ!!」の音頭につられ、まだ夜明け前にも関わらずビールから焼酎へと宴は進み、夜が明ける頃には用を足すにも千鳥足になる様であった。

 そんな中、齊藤さんの「んじゃあ、いってみっか!」の声を聞き、以前よりもかなり険しくなった沢を、3人で協力しあいながら登り始める。 最初の直登こそ齊藤さんさえもヒヤヒヤであったが、高度を稼ぐとともに体もなれて冗談話もでる具合であった。 最後の登りはさすがにザックが肩に食い込むほどの登りに喘ぐ3人であった。 それでも何とか尾根まで辿り着き、昼食を兼ねた小休止。

 尾根上のブナの大木には、先人の鉈目がこれからの森の豊かさを知らしめる。 そよぐ風を感じながら眼下の流れを探してみるが、深い森にさえぎられいまだ感じ取ることは出来ない。 流れを目指す3人の心を繋ぐのは「冷えたビール」のみであることは云うまでもない。

 大岩を乗越し、ようやく清冽な流れに辿りつく頃には暑さも最高潮となり、テン場設営ももどかしく本日2度目の乾杯を迎えた。 このまままったりとしたいところではあるが、テンカラ初心者の私は直ぐにでも釣りに行きたくて仕方がなかった。 「本宮クン、行ってみっかい?」と齊藤さん。 「待ってました!」と、八ちゃんのフライに期待を寄せながら上流を目指し流れを遡る。 渓は幾分渇水気味で渓魚が走らず少々難儀する中、黒い毛鉤を振る私に待望の1尾が竿を絞る。 思いのほか強い引きに思わず顔もほころぶ。 型はそれ程でもないが丸々と太っている。 これはこの先期待できるかなぁ。


黒毛鉤に待望の1尾
八ちゃんのフライにも渓の精


 ポイントを攻める中、続いて八ちゃんのフライにも待望の一尾が・・・。 「キタ〜〜!!」私と八ちゃんが続けざまにイワナをヒットさせるが、当の隠し沢の主である齊藤さんの竿が少々寂しい。 「齊藤さ〜ん!!そろそろガツンと行きましょう!!」 この掛け声を待っていたかのように、齊藤さんが強烈な合わせをくれると、釣りあがってきたイワナを見てさすがの齊藤さんも苦笑い。 渓相は申し分ない。

 少々渇水気ではあるがピーカンの青空の下、ホロ酔い加減の3人はバカっ話に笑いながら竿を振る。 釣れてくるのは計ったようにリリースサイズだが、誰一人文句は云わず絶好のポイントを迎えた。

 齊藤さんのゴッツい仕掛けが振り込まれ、後ろから繁々と見つめる二人が目にしたのは、竿を放り投げ絶好の淵へと飛び込む一人の釣り人であった。 「アッハッハッハッハ〜〜〜!!!」大笑いに包まれた渓は既に3人の天然のプールになった。 こんな楽しみがあるなんて知らなかった。 さぞかし大淵の大イワナも魂消たまげたことだろう。 しかしそれでいいのだ。


魚止めで半ばヤケクソに泳ぐ
魚止めをバックに八ちゃん(左)と私

 イワナだけに気を使ってソロソロ歩きを続けても、釣れなければ疲れてしまう。 齊藤さんの背泳ぎを眺めながら、眩しい青空を見上げ、太陽と白い雲にこの渓を照らしてくれたことを感謝した。

 魚止めを確認後テン場を目指し、気持ちの良い沢を駆け下る。 釣り上がるときには見えなかった美味しそうなコシアブラの木やウルイを見ながら、途中デポしたイワナを回収し、齊藤さんのダジャレと八ちゃんのボケを聞きながらテン場へ到着。

 ここからは薪に炎をともし、米を研いだ後はお決まりの宴会タイム。 ビールに始まり焼酎とすすむ中、齊藤さんの渓への思いに耳を傾ける。 今まで経験した様々な出来事。 これからの私達若手(?)達へのアドバイスなど八ちゃん共々肝に銘じ、焚き火を眺めながら思いを巡らせた。

 しかし、この釣行で感じたのは齊藤さんの酒豪ぶりである。 かく云う私も、酒においては常人並みの強さではあると思っていたが、この人の強さといったらまるで呼吸をするかのように、話の息継ぎように酒を飲んでいく。 福島のつりきち・・・恐るべし・・・焚き火を見つめる3人も、さすがに睡眠不足と重いザックによほど疲れたのか一人、また1人とシュラフへ潜り込む。 最後に残った私も森の精たちに感謝しながら星空を眺めた。


 翌日もピーカン青空・・・と思いきや頭がものすごく重い。 やはり昨夜飲みすぎたようだ。 齊藤さんの「おぉぉ!本宮クン!まだ寝てろよ。」そう云う齊藤さんと八ちゃんが昨夜の食器を洗ってくれてる。 眠い目をこすりながら朝食の準備を始め既に飲みかけのビールを煽り始める。 炊き上がった飯と味噌汁をすすりながら、何故か次々とあいていくビール達。 君達も同じ渓の仲間なんだね。 この渓はきっと齊藤さんには取っておきの場所なんだろう。 そんな宝物に八ちゃん共々連れてきていただいて本当に嬉しかった。 「今回は釣れなくて申し訳ない!」そんな齊藤さんの言葉を遮るすべが無かった私だが、釣りだけが全てでは無いと私は思った。 だって釣れなくっても楽しかったんだも〜ん!

 帰りは幾分軽くなったザックを背負い、小沢を詰めていく途中、舞茸を探しに齊藤さんが斜面を登っていくが、残念ながら思うようには行かなかったようだ。 八ちゃんはミズナのむかごを採ることに夢中になっている。 そんな中、登りの泥斜面に喘ぎながら目の前の齊藤さんのケツにカンチョウを食らわせようか悩む私がそこにいた。 ・・・やっぱそれはできねぇよなぁぁ・・・




(ほんぐう かずひこ)
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