Fishing2010釣行記 待ち人来らず、釣果は素晴らしく[朝日山塊某沢]
待ち人来らず、釣果は素晴らしく[朝日山塊某沢]
 
  
[報告者] 齋藤敦
釣行日:2010/06/某日
 メンバー:齋藤敦、重川英喜
根本宏(上流部隊)
稲垣信明、稲葉英幸
寺尾一木、松田和浩
本宮和彦(下流部隊)
 
  ここ数年は温暖化の影響か源流の雪融けも早くなり、少しでも早くと心待ちにする私にとっては少し複雑な心境でもある。

 しかし、今年はどういう訳か過去に覚えがないほどの春先のどか雪で山菜の出も10日から2週間遅れでシーズンを迎え、今回の釣行も少し心配になる。いつものベストシーズンであれば山菜には少し時期遅れの感も雪代が治まりかけた流れは適度な水量となり、エサを食み始めた良い型の岩魚にめぐり合うには最高の時期になる。ま、釣りはともかく現場まで行ってしまえば遊ぶ手段はいくらでもある、今年初めての源流2泊なのでまずは行って見ようということに。

 今回の大よその計画はこんな感じだ。私と根本氏と郡山市の釣友の重川氏の3人が金曜日に先行して2泊、そして1日遅れの別働隊で本宮、寺尾、稲葉、稲垣、松田の5人が下流から釣り上り我々のテン場で2日目に合流と言う流れになる。今回は重川氏のエルグランド(これが最後に大正解に)の8人の定員のところに3人、快適な車中での宴会も楽しみといつもより早立ちに。幸い車止めには先行者の車もなくまずは安心、早速冷えたビールで乾杯、乾き物とは段違いの家から持ち寄った美味しいおつまみに酒が進み、焼酎まで。

 気が付いてみれば窓の外は白み始め、仮眠の余裕はなし。これ以上ここで飲んだくれていて先行者が現れては何のために早く来たかの意味がない、手早くパッキングを済ませ杣道に取り付く。僅かで尾根まで続く連続の登りになり、しこたまやってしまった命の水が逆に命取りに。10分登っては小休止、ザックを枕に仰向けにひっくり返れば誰からともなくいびきが。結局尾根までは10分休憩と仮眠10分で毎回20分の中休止を34回、いや56回?、ま、慌てる必要もない、余裕を見ても9時にはテン場に着けるはず。降りはザックの重みに押されるように転げ落ち、下降点の支沢へ。いつもここには支沢唯一の雪渓が残っていて斜面の食べ頃のウルイを2掴みほどをいただいていくのだが、今年はまだ芽吹いたばかりで採れるようなものはない。本流までの支沢には今まで目にしたことのない不安定な雪渓があちこちに残り、通過も慎重になる。幸い全て上を乗り越すことができて僅かで本流に降り立つ。

 ここまで来たら目指すテン場はあと僅か、のんびり竿を出し、日当たりの良い場所で山菜を採りながら上流へ。例年より水が多く、釣りには好条件と期待したが小物がたまに上がるだけで芳しくない。本流に降り立った時から気になっていた比較的新しい足跡が原因か?私と重川氏はエサ釣り、根本氏は今回が初めてのテンカラで釣り上がり、大した釣果もないまま目的のテン場へ。早速重い荷を降ろし、ビールで乾杯、少し焼酎。これ以上はという頃合でマキ集めタープ設営。テン場周囲には沢山の流木があり、宴会スペースには大量のマキが積み上げられる。これで焚火宴会2日分の必須アイテムの用意は完璧。少しの時間身体を休め、「今日は酒飲みで終わりで十分だな」と言う気持ちがありありの根本氏の尻を叩き、釣りに出る。テン場上から竿を出して遡上止めまで以外に貧果で、滝の上までと思うが、岩棚の取り付きまでがいつもならへそまでなのに今回は首までありそう。一旦入ってしまえばどうってことはないのだろうが、今回はテン場宴会の気力が勝り、ここで納竿

 テン場では3時過ぎから宴会突入で暗くなる頃には酩酊モード、正確には何時にどう寝床に辿り着いたのか覚えていないが、超早めの就寝。


 翌朝は早寝のお陰で暗い内から目が覚め残りのオキに小枝をくべて焚火を起こし、飲み直し。今日は釣りのための1日、朝飯を早めに終えて昼飯のソーメンをザックに入れて上流へ。昨日終えた遡上止めまで歩き、この上から竿を出すつもり。当然、首までの渡渉は覚悟したが、まだ早い時間で雪代もなく胸まで、でも気温も上がらない時間なので水はその分冷たい。遡上止めの上からは足跡もなく、今シーズン最初の入渓は私達のようだ。ラッキー!!淵、小滝、トロがほぼ交互に現れ渓相は抜群。岩魚も丸々と肥えた9寸前後が面白いように掛かる。根本氏はテンカラ初心者なのにまるで名人になったような気でいる。実際、今までエサ釣り専門でテンカラ初体験でぜんぜん釣れなかったら「やっぱエサだな」となってしまいそうなので非常に良い機会に恵まれたということだろう。
大物の気配、さて釣果は?

遡上止めの滝でのへツリ


テンカラ開眼か!


エサ釣り開眼か(笑)



 途中の開けた河原でソーメンを茹でて昼飯、決して暖かいとは言えず、漬け汁を熱くしてウドの新芽の薬味でいただく。

 食前酒用に持参した僅かな焼酎を3人で分け合いまったりと休憩。さらに暫く登ると冷気が川面を漂い、いや〜な予感。やっぱありました。しっかりとした雪渓が、逆にズタズタでなくて良かった。降り口が少し切れていてロープを垂らして沢床に。ここから更に魚影は濃くなり尺上も。途中のプールでは数尾の尺岩魚が淵尻でエサを追い、鼻っ面にブドウ虫を流すが見に来るだけで掛からない。重川氏が河原にいたクモに付け替えると丸々と太った岩魚が一発でかかる、やっぱ現地調達の虫にはかなわない。さらに行くと少し厄介そうな淵が出るが「もう十分満足」と言うことで納竿
 
兵隊さんですか?
それとも釣り師ですか?




 テン場に戻れば別働隊の彼らもまったりとしている時間だろうか?期待をしながらテン場近くまで来るが、焚火の匂いもなく予感的中、結局は不在。

 古い記憶ではあるが、下から遡行しても十分に到達可能な時間のはずで少し不安になる。また、今日の夕飯以降の食材の殆どは彼らに担ぎ上げてもらうことになっており正直これも心配。とにかくここで待つしか方法がないが心配でふんだんにある酒も根本氏以外ははかどらない。

 何度視線を下流にやっただろうか、もう僅かで陽が暮れると言う時間になって視界ぎりぎりのところから彼らの呼ぶ声が。テン場到着後事情聞かされ随分と予想外の悪条件が重なったようでそれぞれの顔からは疲労感が。今晩は一堂に会してのメインの宴会、持ち込んだ食材での宴会料理は最高、酒も最高、会話も盛大な焚火も。別働隊は疲れているはずなのにこの時間を惜しむように宴は真夜中まで続き、前夜と同じくいつの間にやら寝床に。
暗闇寸前での合流

     
  良い釣果にご機嫌の重川さん

 
     
  齋藤さん特製ペンネ

 
 朝起きると稲葉、稲垣氏が焚火を起こしコーヒーを入れて置いてくれた。
目の前の流れの水をカップに汲み取って渇いたのどを潤した後、ご馳走になる。
「う〜ん、うまい。目が覚める」
稲葉、稲垣氏はすでにコーヒーを終えて朝酒に入っている、他のメンバーも嫌いであるはずがなく朝宴会モードに突入。これ以上は明るい内に車止めに付くことさえおぼつかない。

 尾根での昼飯用に特大の握り飯をこさえ、焚火の跡もきれいに片付けお世話になったテン場に感謝して出立。源流に来てしいていやなことを上げるとすればこの瞬間だろう。

 最初の計画では帰路も別働隊と別れ我々は山越え、彼らは本流を下る予定であったが渓や林道の事情から全員が山越えで戻り、下流の林道まで車を回収に行く方法に変更。来た道と同じ道に取り付き、来る時は転げ落ちた急登を喘ぎながら登る。

 
 
さぁ!夢にまで見た山越えです

松田君と稲垣(兄)


     
   握り飯がうまい!

 


 尾根付近の風が心地良い見晴らしの良い場所で持参した握り飯を頬張る。1個がコンビニおにぎりの4個はあろうかというのに各自2個を平らげ燃料補給。僅かでピークとなりあとは鮮明な道を下るだけ。ほぼ予定通りに車止めへ。エルグランドに8人全員を収容し、別働隊の車止めへ。(8人乗でほんとに良かった)テン場を出た時間が遅かったため既に陽は傾きかけ次回の再会と労をねぎらい解散。

 翌月曜日のニュースでは東北南部が今日から梅雨入りとのこと、今回の釣行は3日間ともピーカンでこれ以上ない時期での入渓でした。日頃の私の行いでしょうか?それとも重いザックと足の靴擦れをおしてテン場を目指してくれた本宮氏のお陰でしょうか?今回は私も後者と認めます。数日後撮ったビデオを振り返って見てみました。どんなシーンでも皆の目が緩んでいます。

   「いや〜、源流ってほんとうにいいですね」   (水野晴郎風に)



(さいとう あつし)
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