Fishing2011釣行記 懐古の道 [福島県奥会津]
懐古の道 [福島県奥会津]
 
  
[報告者] 本宮和彦
釣行日:2011/6/4〜5
 メンバー:渡部信雄、小島一郎
 稲葉英幸、本宮和彦
 
 
 残雪の照り返しを受けながら汗ばんだ頬を拭う。春蝉の心地よい唄声に耳が慣れたころようやく眼下の流れに降り立つと今宵の泊り場が見えてきた。誰からともなく安堵のため息が漏れた。


     
   旬を採って喜ぶ大人たち

 
     
  あさましい大人たちの図 


 
カタクリが一面に


テンバが見えてきました

 
 

 ブナの木々に囲まれたこの一級の泊り場は言えて妙、「ゾウさんのテンバ」と人は呼んでいる。折しも雪の多いこの地方において一抱えもあるブナの木とて重みで根本が湾曲しその様がまるでゾウの鼻の様だからだ。そのゾウに一礼し到着祝いのビールを開けた。そこからは道すがら採れた旬の葉や芽を舌で楽しみ、ついついビールも2本目、3本目に手が伸びる。

 ふとハマナベさんが「釣りに行こうよ」と我々のスイッチを押す。さっきから天幕の下でごそごそしていた小島さんだがどうやら仕掛けを作っていたようだ。
 

古の道が続きます

青空と残雪とスラブ

残念ながら魚は留守のようです

     
   食べごろのウルイ

 
     
   ウド畑

 

 枝沢にハマナベ、小島、本流筋を稲葉、本宮でと沢割をし既に雪シロが収まってしまったかのような流れを遡り始めた。どうやら魚達はどこかこの道の奥へ出掛けてしまったらしい。

 毛ばりを何度か振ったのち本流組は5b程の滝に出くわした。
その両岸は小型ドリルのようなウルイが一面を覆うように芽を出し釣りに興味の無くなった私と稲葉っちは根本の白い部分から丁寧に折り、イワナを入れて帰るはずだったビニール袋に主を変えて収めることにした。

 ゾウさんがようやく見えてくると枝沢組も既に帰っており早々と焚火に火をともし一杯始めている。聞けばいきなりのズタズタの雪渓に敢え無く退散してきたらしい。

背後にはゾウが・・・

     
  ここにきて手羽先ですか


 
     
  何もすることもない贅沢 

 

 宵闇の訪れとともに湿度を持った風が左から右へと流れて行く。

 ザックの中から取り出した食料を手際よく料理し、皆は口へ。ニンニクカレーは焚火のオキでトロトロに、採りたてのウルイはそのまま味噌を付けて、炊きたての飯には甘辛く炒めたコシアブラに皆一様に持つ箸を離せなくなる。

 釣りの話などどこ吹く風、滋味豊かな山の味は私たちの心も体もピカピカに磨き上げてくれたようだった。

 ハマナベさんのラム酒も稲葉っちの激辛味噌も小島さんの「本宮さん、一々材料が多いよね(笑)」も全て跡形もなく胃袋へ。





     
  ハマナベさんもシャウエッセンに挑戦


 
   
 

 
     
  食後のコーヒー


 
   
  インド旅行に行って参りました


 
   


 
 
 

 「八十里、腰抜け武士の越す峠」
幕末の長岡藩主、河井継之助が自嘲を込めて読んだ句にある古道から付随するこの道も峰を越えた叶津川赤崩を結び今もひっそりと息づいている。 

 まだきっとどこかでチョンマゲを結った侍が我々の事を木の陰から息を潜めてじっと見ている、この沢と古の道にはそんなロマンを抱かせる不思議な隠し味があったようだ。




   
  
 


(ほんぐう かずひこ)
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