Fishing2013釣行記 大鱒の余韻[栃木県鬼怒川支流]
大鱒の余韻[栃木県鬼怒川支流支流]
 
  
[報告] 高瀬賢一
[写真] 高瀬賢一  
釣行日:2013/4/2〜3
 メンバー:小池卓、橋本洋文、高瀬賢一
 
 
 
 
 久しぶりのおぼろ月夜だった。

 少し冷えてきた四月半ばの宵は、何故だか日本酒の冷が心地良い、意識の緊張を解きほぐす。 口火を切ったビールは 翌朝の食前酒として一本を残すのみとなり、徐々に増えてくる揚げたてのテンプラをつまみに冷酒をいただく。 

 遠く近く連なるモコモコの新緑の山並 まだ暮れなずむ川辺のテンバから肘掛の付いた椅子にもたれながら眺める。まるで季節と景色が宴席のメインデッシュのようだ。四季を比べれば躍動の春を一番と答える三人だが、正に今がその時だ。

 『 今でしょうー。』やがてランタンに火が入り 気が付けば久しぶりのおぼろ月夜だった。テンバの周囲を囲む木立は全て山桜、終わりかけのソメイヨシノに変わって順番待ちの一分咲き。こうなると春は一気に初夏へと進む。



モコモコの山々



 今日は一度もアタリが無かった。気の無い素振だったせいか、魚に嫌われたらしい。心のどこかに『 春高楼の花の宴 』がメインになっていたのかもしれない。イクラも、ブドウ虫も、ドバミミズも試したが どれにも心を寄せてくれなかった。振られたのは私だけでは無かったようで、右手を痛めた小池会長も同様で、今日一日の釣行を振り返ると、唯一いい思いをしたのは橋本氏と言う事になる。これは普段の行いがどうのと言うことでは無く、単にツキが有ったと言うふうに理解している。又はビギナーズラックと言うことなのだろうと。


天ぷらならまかせとけ



 竿も、仕掛けも、タモも私の物を使い、60センチのヤシオ鱒を釣上げてしまったのだ。さらにその日の朝に取ってきたドバミミズは、小池会長が自分の畑から掘ってきたのだ。

 確かに10分程格闘はしたけれども、頭上に木の枝が有って竿が立てにくい状況ではあったが、これは正に幸運の女神に色目を使ったとしか考えられない。それにどことなくヤシオ鱒も具合が悪かったようで元気が無かったし、花粉症なのか少し鼻曲がりだったような気がする。まあどちらにしても、ヤシオ鱒の話題は、こんなおぼろ月夜にふさわしいとは言えない。橋本氏もその辺を察したのか、『皆さんの総意で釣らして頂きました。』と謝意を述べた。それに昼の弁当は橋本氏の奥様の手作り弁当、厚焼き玉子と三種類の具入りの握り飯、大変おいしくご馳走になってしまったし、それに一週間もすればおいしい味噌漬けの切り身も届くに違いない。『 許してあげるか。 』とアルコールのせいで偉そうな私でありました



橋本氏と60pのヤシオマス



 彼は小池会長の一番弟子とのことで、小池流テンカラを受け継ぐらしい。

 切れ味鋭い小池流テンカラ、私も何度かの釣行で拝見させていただいている。
『 疑似餌で魚を騙す 』 たったこれだけのことなのに、千変万化のテンカラスタイル。どちらも高い技術と経験が必要と言われているが、騙しのテクニックと言い方を変えると何故か罪の意識がちょっと頭をもたげる。

 しかし楽しい会話の尽きることはない。今夜は仕事の都合で参加できなかった小鷹顧問がいないのは少し残念ではあるが、今期で退かれた4年間の渓遊会会長、ご苦労様でしたとお礼を申し上げて次回の参加を期待したい。

 やがて一升びんの底が見え始めた頃、しめの煮込みうどんを最後に楽しかった余韻を残してお開きとなる。《 本日のメニュウ 》脂の乗った鮭の刺身、紀文の焼チクワ、トマトケチャプとソースで合えたタレでいただく湯引きウインナ、キュウリと茄子の浅漬け、ポテトチップス、減塩紀州の南高梅、橋本氏の奥様手作り厚焼き玉子、そしてメインのテンプラ五種(新タマネギとニンジンと干しエビのかき揚げ、明日葉、カボチャ、タラの芽、紀文の焼チクワ)そしてしめの煮込みうどんは、豚肉とタマネギとニンジンを油で炒め、麺つゆと味噌で味を整え、菜の花とカボチャで色を添え、湯引きした細麺を入れておいしくいただいた。今朝はいつものように飯を炊き、塩と胡椒で味付けしたウインナエッグと、キュウリと茄子の浅漬け、残しておいたテンプラ、これに菜の花とカボチャの味噌汁、おいしく、おいしくいただきました。そして最後は 落としたてのコーヒー、ちょっと贅沢だったかもしれない。

 昨日よりさらに春めいた新緑の視線を集めながら、朝のひと時を過す。最後は手際よく『 来たときよりも美しく。 』の精神で片付けを完了、帰途に着く。帰り道の芝桜に再来を約す。


 

新緑の木々



 


(たかせ けんいち)
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