Fishing2015釣行記 雨のち豪雨ときどきイワナ[最上川支流立谷沢川]
雨のち豪雨ときどきイワナ
[最上川支流立谷沢川清川]


 
  
[報告者] 本宮和彦
釣行日:2015/8/13〜15
 メンバー:上田勉、本宮和彦
 
 
 
 
 
 
 
山岳信仰の山「月山」。いわゆる出羽三山の主峰である。

 古の山に源を発する立谷沢川清川は大雪原から流れ出る雪解け水を集め遠く大河最上川を形作る川の一に数えられている。

 前夜関東を発った私たちは西川の道の駅で仮眠後、早朝月山登山口を目指し車を走らせた。

【AM8:00】出発
 今回のメンバーは体力バリバリの上田さんと私ののんびり二人旅。あわてる理由もなく他の登山者を先に行かせ多めの休憩を取りながら一路月山山頂へ。




月山山頂は雲の中


     
  このころの上田さんは元気でした


 
 


 
【AM11:30】 山頂着
 ガスがかかり気温も低く風が強い。ひとまず肘折温泉方面の登山道を下り始める。

 岩陰でそそくさと昼食を取り食休みもせずに下降開始。辺りは森林限界を超えている為草原が広がり天気が良ければ気持ちの良い眺めに出会えるだろうが、あいにくと今日はお盆の寒空、先を急ぐしか無いらしい


【PM2:30】
 昨日まで立谷沢川で釣りをしてきたというご夫婦に出会う。

 月山沢の方が釣れたとの情報に清川を諦めようかと気持ちがぐらつくが初志貫徹を思い出す。この先の下りは用心するよう忠告を受けた意味が15分後に分かり随分と達者な奥様だと感心した。それにしても上田さんの調子が上がらないようで心配だ。

【PM3:15】
 沢の音を聞きながら木の根を跨いだりトラロープにつかまったりしながら下降を続ける。写真に見る清川に掛かる橋は崩れ落ち新しく掛け直し作業が始まっている。お盆の為作業される方々はいなかったが意外なところで工事現場に出会い少々驚く。上流側に高久さんから教えてもらったテンバを発見し設営後ノンビリするつもりが雨が降り出し雷まで鳴り出した。

 ようやく上田さんの疲れの原因がここで判明した。ビール(大)6本、ウイスキー、焼酎、日本酒とあらゆる酒がザックから出てきた。私は控えめにウイスキーのみだった為、あからさまに白い目で睨まれたのは言うまでもない。

 上田さんは疲れたのでビールでの乾杯もそこそこに寝ると言う。一人で2〜3曲鼻唄を唄いながらウイスキーを呑み始めるがどうにも一人では調子が出ず私も8時頃眠ってしまったようだ。



ようやく着いた立谷沢川清川の流れ






 

【2日目】

【AM5:30】 起床
 上田さんと相談の結果、降りてきたルートではなく清川を詰めあがり行人小屋ルートの登山道から月山山頂を目指す計画に変更。



【AM9:00】 出発
 テンバ撤収後待ちに待った釣りをしながらの遡行開始。渓相は良いが前日のご夫婦の足跡が残るからか出はいまいち。竿をたたみ遡行に専念すると瀬尻から走る黒い影。ラインを伸ばし振り込むと毛バリを引張り潜り込む先には8寸ほどのきれいなイワナが掛かりそのあとはまるで毛バリが主食かのような食いの良さ。エサ釣りの上田さんには分が悪く毛バリに変えた途端に釣れ始めた



この後、豪雨に悩まされるとは


     
  優しい顔つきのタレ目イワナ


 
 
の日、エサ釣りでは沈黙するばかり
上田さんも首を捻っていました


  しかし、毛バリに変えたとたんにこの表情です


 
 
さかさまですがご勘弁


   型の良いイワナが毛バリを追います


 

【AM11:30】 昼食
 持ってきたラーメンと釣れたイワナを私がさばき刺身を食べる。上田さんが珍しく“うまいうまい”を連発しているので体調も良くなったのだろうと安心する。



【PM0:40】
 雲の動きが忙しくなり中には黒い雲が目立ち始める。風も出てきたため釣りを止め遡行に切り替えるが上流では既に降り出しているのであろう。水嵩が増してきた。

 地形図ではまだ半分ほどしか進んでいないが周囲は先ほどとは変わって山が立っている為この辺ではビバークできそうな場所もない。そうこうしているとまたもや雷鳴が響いている。



【PM1:45】
 
 
沢は濁流と化し、沢床一杯に広がり底も見えない為足先で探りながら一歩一歩確認作業を続ける。仕方なくビバークできそうな場所を探しながら藪へ入り込むが至る所で地面から水が湧き出しておりどうもその気になれない
 




【PM3:00】
 左岸側から幾筋かの枝沢が流れ込んでいるがどれもものすごい勢いで水が跳ね上がっている。



渡渉もままならずひたすら我慢の遡行を続けます


大岩も濁流で隠れ振り返れば枝沢も溢れかえっています




 

【PM4:45】
 1250b付近の左岸側から沢が流れ込む猫の額のような川原を発見。二人で思案の結果ここに幕を張り不測の事態には上の藪へ逃げ込める一等地を確保した。雨は断続的に降り続き手加減をしてくれそうもない。稲妻は横なぐりに鳴り響きまるで竜のように尾を長く引いている。



【PM6:30】
 宵闇が迫るころにはようやく雨脚が止まり始めタープの支点を任せたとっておきの大石からも水際が離れ始め安堵の時間が訪れた。

 まずはビールで乾杯。しかし上田さんはすぐにシュラフへ潜り込んでしまい寝息を立てている。仕方なく今夜も一人でウイスキーを煽り下界のコンビニ製柿の種で一杯始めることに。乾きものついでに切り干し大根を作っていると匂いに釣られたのか上田さんが起きてきた。わざと濃くした味付けで食欲が出たようでついにはイワナの蒲焼丼までたいらげ今宵は満腹のまま就寝。





【3日目】

【AM5:00】 起床
 鳥たちのさえずりで目を覚ますと真上の空の雲が切れ山の稜線にはオレンジの朝日が差し込んでいる。昨夜の残りに納豆と味噌汁の和定食を堪能した後は手早く撤収作業。



目覚めて空は快晴


昨日はタープの目の前まで濁流でした


     
  ギョウジャニンニクと牛肉の卵とじ


 
 


 
【AM8:00】 出発
 水量はまだ多いものの昨日のような濁流ではない為非常にテンポよく進む。清川源流部にはさしたる悪場は無く2〜3bほどの小滝を交えながら高度を稼ぎとても遡行しやすい渓相である。




出水のあとが目立つ源流部




 
AM9:00】
 ようやく両岸が開け高度計では1320bを指している。雪原を源とする流れは至る所で滝となり勢いよく流れ落ちている。地形図と照らし合わせ稜線コルを確認、藪をかき分け突き進む







 
AM9:20】
 まだ先だと思っていた矢先、ヒョイと拍子抜けするほど簡単に登山道に出る。これには上田さんも苦笑い。こうして森の中を歩くとあの沢の喧騒が嘘のようである。

 ここからは胸つき八丁、ブナの大木あり、森林限界を越えるころには可憐な高山植物が咲く草原ありと夏山を満喫しながら登り詰める。あとは膝を笑わせながらの下山を残すのみ。



 最後は快晴の中駐車場へ帰ることができ会心の3日間はこうして幕を閉じた




 
   遥かかなたの「行人小屋」


 
     
雪原を縫って山頂を目指す
真夏にも関わらず肌寒く歩いていないと体が冷えて堪りません


標高1500bが森林限界
草原が広がり景色も最高です



 
 
   

 天候に恵まれればもっと良い山旅を満喫できただろうがあまり高望みはやめておこう。
最小人数での行動は非常に判断が早くかつ、効率的に行動できたように思う。


 帰路最上川沿いでは地元の花火大会が催され渋滞に巻き込まれた車内で上田さんに「立谷沢また来ましょう」と声を掛けると顔はにこやかだが聞こえて無かったのか何故か返事が無かった。


 
     
     
(ほんぐう かずひこ)
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