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Fishing>2016釣行記 朝日連峰、熊取の道を拾いながら |
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朝日連峰、熊取の道を拾いながら |
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[報告者] 後藤正春
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釣行日:2016/4/29〜5/1
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メンバー:齊藤敦、林出政治
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上田勉、後藤正春
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4月29日から5月1日まで今年初めての源流釣行に出かけました。新潟県三面川水系のとある沢、名前は明かせませんが、この沢へは昨年に続き2回目の入渓となり、色々な面で初体験となる事象の多い釣行となりました。
そもそも山に2泊するのは初めてのこと。28日の午後10時半福島を出発しましたが、日本海側を低気圧が発達して進み北海道や高い山では雪が降るとの天気予報の中、山形県小国町を通過する頃はまさに暴風雨となりました。県境を越えて暫くするとさすがに風は穏やかになりましたが、雨はなお降り続いていました。
上田さんとの待ち合わせ場所には午前3時半頃到着し、挨拶もそこそこに暫く車中で仮眠をとりました。出立予定時間の午前5時になっても雨は一向に降り止まず、え〜本当に出発するの〜という感じでしたが急かされるように荷造りをし、カッパの下に一枚多く着込んでほぼ予定通りの時間に出発しました。
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昨夜からの雨で増水中 写真で見ると感じられないが落ちたら笑い話では済まない
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沢の入り口に着いたのは午前6時、昨夜からの雨で沢は増水し、濁流を吐き出していました。入渓点からは本流右側のマタギ道を伝っての歩きとなり、道は明瞭ではあるが途中に定置ロープを伝っての下降や滑りやすい泥付斜面のトラバース、緩んだロープを頼りにした岩場の移動、滑れば激流の本流まで落ちてしまいそうな場所もあったので、三点確保の基本を意識しながらの歩きとなりました。本流はやがて二又に分かれ分岐上流をスクラム渡渉で乗り越え、午前9時頃テン場に到着しました。到着乾杯の後、早速テン場設営にかかりました。この頃になると雨は小康状態になり、ブルーシート2枚を使っての完全密閉型の天幕とタ―プの設置、焚火用の薪集めと作業は順調に進みました。この時のロープの張り方やしっかりしたテン場設営こそがこれから続く2晩の試練を無事乗り切ることができた大元であったことを後で実感することになりました
テン場設営が完了した頃、雨脚はまた強くなってきました。沢は増水したままなので中々竿を出す気にもなれず停滞していましたが、午後夕飯のおかず確保のため意を決して沢に入りました。魚は直ぐに釣れ食用の確保はたちまち終了しましたが、突然バラバラと霰が降り出しました。それが一晩続く悪夢の序章であったようです。
夕食は岩魚のかば焼き丼と途中で採ったコシアブラ、アブラコゴミなど山菜の天ぷら、ヒラタケの味噌汁、雨の中でも山で飲む酒はやはり美味い。焚火も順調に燃え、特に雨の中での焚火には生木を使った方が火力が良いことも今回初めて体験することができ、雪崩で倒れたであろうその生木を使い十分な薪を得ることができました。酒宴は7時には終了し、直ぐに寝袋に潜り込みました。雨脚は益々強くなり、突然「ピカッ!バリバリ」とルーシートに雨がバラバラ、風がビュービュー、沢音はゴーゴーと大荒れの天候となりました。これではとても眠れないと思いきや、両脇からはグォーグォーと健やかな寝息が聞こえてきたのには感服しました。うつらうつらして目が覚めるとブルーシートの天井が顔のすぐ近くまで接近していて「なんじゃこりゃ」と思ったら、何と屋根に雪が積もっていたのです。渓流釣りに来て雪が降ったのも初めての体験でした。荒れ狂った天候も夜半過ぎには穏やかになり、何時しか寝入ってしまったようです
2日目の朝は雨も止み青空が覗いていました。やはりお陽様の恵みはありがたいとつくづく思いなが心軽やかに出発準備をしました。
本日の目標は左俣源流です。昨日の渡渉点も大分減水し、快適な遡行となりました。昨年と比べると季節は2週間近く進んでいるようで山菜は既に勢揃いの様相でした。この先には直登不能の滝があるとのことでマタギから聞いていた尾根越えの道を探しての歩きとなりました。現在位置を慎重に確認し、斜面を暫く登ると住居跡か畑の跡を思わせるような稜線上の平地に出ました。そこは小沢の周りにワサビの花が一面に咲き、沢向の山並みが望めるまさに桃源郷でした。近くには、山賊伝説のある岩屋があり、今ではマタギが熊撃ちの際に拠点として使っているそうです。その先は、マタギが印してくれたナタ目を辿っての歩きとなり、ようやく滝の上流部へ下降することができました
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一面のワサビとコゴミの天国のような大地
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マタギの岩屋
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マタギのナタ目を拾いながら下降点を探します
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降りた先は涎の出るポイントの連続する岩魚天国
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ここからは釣りを開始しました。水温が低いせいか喰いは今一でモゾモゾといった当たり、尺までは届かずとも両方がポイントからあがりました。
ワサビの花が咲く水場で餅入り山菜ラーメンの昼食と採ったばかりのウドをかじりながら一杯やり、上流を目指します。
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足元から採ったコゴミを茹でて一杯やれば極楽極楽
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踏ん付けてしまうほどのワサビ
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源流は穏やかな流れが続きます、しかし、魚止めはまだ先
今回は残念ながらタイムアップ と言うよりも皆さんもう十分ですと
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岩魚は上流に行くほど濃くなり、足元からでも釣れるほどです。目前に2条の滝が迫り、越せないことはなさそうですがもう十分、また空模様も怪しくなってきたのでテン場を目指して下ることにしました。
来た時のマタギ道を拾いながらテン場に戻るとまたもや雨が降りだしました。夜は昨夜の延長戦のように、「ピカピカ、バリバリ、バラバラ、ゴーゴー、グォーグォー」、この場でできる最良の事は、天井が落ちないことを信じて熟睡する平常心を持つことだと思いました。
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2日間お世話になった快適なテン場
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大好評だった岩魚のソースかつ丼
千切りキャベツにパン粉で揚げた岩魚を乗せて
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最終日も雨の中での撤収となりました。帰路もピカピカ、ゴロゴロ、どうも山の神の機嫌を損ねてしまったのか、
4人とも美男子だったのがいけなかったのか?次回はオコゼをぶら下げてこようと思いながらようやく沢の出口に辿り着きました。
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帰路、マタギ道から見下ろす図太い流れ、さあ来年もまた来よう
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渓流釣りは、沢に入った時の感動もさることながら、無事に沢から出た時の喜びと安堵感もまたひとしおであると思いました。また魚は、人が入らない沢に入れば誰でも釣れるが、人が入れない沢に入るための遡行技術と沢での野営技術こそが源流釣りの極意であることを今回の釣行を終えて思いを新たにしました。今回も誘っていただきました齊藤さん、林出さん、上田さんには改めて御礼申し上げるとともに次回もどうぞよろしくお願いしますと申し上げて釣行記を終わります
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(ごとう まさはる)
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