Fishing2016釣行記 下田山塊某沢釣行記
下田山塊某沢釣行記
 
  
[報告者] 平江誠
釣行日:2016/7/2〜3
 メンバー:上田勉、寺尾一木、平江誠
 
 
 
 
 
 関東でも未だ梅雨の明け切れぬ7月の半ば、会の釣行計画に盛り込まれた下田の沢へ1年ぶりの挑戦となった。当初、膝の様子見となっていたDr寺尾氏より参戦の表明、今回は2名での釣行かと思っていたところへ、立谷沢、三面川に続いて3連チャン釣行となる上田氏が参戦となり、有志3名で挑むこととなった。


 22日未明、寺尾・平江2名で三川IC到着、出口すぐの公園?で上田さんと合流予定だ。時間に余裕のある上田さんは、高速ではなく一般道を使って既に到着済。寝酒をたしなみ睡眠中であったが、隣に駐車するとすぐに起きだし入山祝いと称した宴会が始まった。 


 最近では(いや、かなり昔からか?)極めてこの宴会の比重が高く、入渓時の遡行に多大な悪影響を及ぼすことは皆十分理解しているはずなのに、どうしてもこれだけはやめられない。

 すっかり泥酔した私は、コンクリートの地面に銀マット&寝袋で爆睡となった。





 結局、寝不足と二日酔いのまま、出発点となる車止めまで移動し、いざ入渓。(7:30)

 蛭が生息する草ぼうぼうの杣道を快適に進み、バックウォーターに到着し早速蛭チェック。数匹を発見し、荼毘に臥す。天気は梅雨時期にもかかわらず、3日間の快晴の予定。若干多い水流の中、滝や落ち込みが現れる度にスリルを味わいつつ、下流部ではちらほらと飛び交うめじろあぶに追われるも、夏空と木々の緑と澄んだ沢水に
  “まさに源流”を体感しながらこの沢の恩恵に浸る。


まずはF1に挑む




 F1、F2、F3を快適に越え、目的のテン場に到着。

 とりあえず乾杯ビールを沢水に沈め、薪集めと宿の設営に取り掛かる。今回はステルス戦闘機をイメージした(してない!)前衛的な宿の建設を目指した。


F2前にて

焚火と寺尾・上田氏


     
  前衛的なステルスブルーシート


 
 


 これが終われば待ちに待った乾杯だ!程よく冷えたビールを乾いた喉に流し込む。最高に美味い!このまま濃い酒に移りたい欲望を抑えつつ、岩魚の状況を2名で確認に行く。

 当然留守番は寺尾氏である。1年ぶりのこの沢であるが、昨年は台風の合間の強硬釣行であったため、本来はてんから向きの渓相も、餌釣りに軍配が上がる結果となったが、今回はまさにてんからパラダイスを期待しつつ、前回の末沢釣行で竿を破損した私は、ネット通販で5780円で新調した最高級てんから竿を振る。


 結果、入れ食いではあったものの、いかんせん型が小さく、大きくても28cm止まりといったところであった。まあ明日の予行演習には十分ということで、上田さんと二人、テン場キーパー寺尾氏が点火した煙を目指し、二泊で予約済の宿へと戻ることにした。

まだ明るい中、薪の炎も絶好調となり、岩魚の蒲焼、上田農園産じゃがいも炒めや麻婆茄子、寺尾氏特製豚バラ燻製やかた焼きそばをつまみに酒を飲む。もちろん定番のベビースターラーメンもセットである。やっと源流の季節になったとしみじみ実感できる最高の時間であった。本日も仕事きっちりのうえ、いつも通り焚火脇で撃沈となりました。



焚火と上田氏


寺尾氏特製豚バラ燻製と岩魚の焼き枯らし







 2日目も二日酔いの2名は、上田さんにたたき起こされ、モーニングコーヒーをいただきつつ眠気を覚ます。

 早朝に猿の群れが現れたようだが、その姿を見れたのは、三文得の上田さんのみでした。朝食を終え早速出立となった。

 本日は1日この沢の精と交流できること間違いなしと、勢い勇んで昨日釣り上がったポイントまで辿り着き、早速釣り開始となった。


 朝一でベストポイントを見つけた寺尾氏が、さっそくてんからで尺岩魚を釣り上げた。餌釣りの上田さんは、芳しくないようでいつの間にかてんから竿を握っていた。昨日と同様全体的に型はいまいちで、3年前に来た時に味わった尺級の入れ食いとはいかなかったが、数は相変わらずだ。周りを見回すと、2〜3m上に草木が流された跡がくっきりと残っていて、最近大水が出たことを教えてくれていた。ゴルジュの中もやはり大水の影響か、ほとんどが小砂利で埋まっていた。遡行には楽ちんでありがたかったが、岩魚への影響を考えると少し残念な気がした。秋になれば今リリースした小岩魚が尺を超える大物に成長し、竿を引き絞ってくれるに違いないことを期待して、更に上流を目指す。


 快晴の下快調に釣り上がり、本日2個目のいやらしい滝手前で昼飯とする。メニューは源流素麺と岩魚の刺身の予定である。滝の大淵へ、餌釣りの上田さんが竿を出す。竿先にあたりがあるものの、なかなか竿を上げる気配がない。すると少し合間をあけしっかり咥え込ませた後に一気にあわせをくれた。竿は満月にしなり、上がってきた岩魚は黄金色の見事な主であった。しっかり写真に収めリリースをしたが、そこで初めて昼飯のメニューを思い出した。「あっ、刺身っ」思わず叫んでしまったが、上田さんは落ち着いた声で「それじゃー刺身を釣るか」と言ったかと思うと、ものの数秒でいい型の刺身サイズを釣り上げてくれた。



 素麺用の水切り網をテン場に忘れてしまったため、苦労してなんとか冷やし、茗荷・ネギ・生姜・大葉を刻んだ涼味たっぷりの源流素麺と、岩魚の刺身をつまみに上田さん特製山葡萄酒を頂く。


 青空の下、最高の気分で(酒のせいか?)大滝を巻いて釣り上がる。いやらしい滝なので、すけべ滝またはエロ滝かと勝手に命名し、ひとりほくそ笑む私であった。




実は寺尾氏が釣った尺岩魚


テンカラ絶好調!




 両岸が見事に切れ上がったスラブの渓に盛夏を思わせる緑が映える。

 ルンルン気分の遡行であったが、最後の難所、大滝の高巻きが現れた。右岸の岩壁に張り付きながら、灌木につかまり必死の思いで身体を持ち上げていく。毎度のことであるが、今つかまっているこの枝が折れると確実に死んでしまうと思うと、邪魔くさい灌木もひどくありがたいものに感じられる。手がかりのない泥付きの岩壁や、90度近い斜面で届いた枝のなんと愛おしいことか、このうえない安心感を得られること間違いないしでる。


 感謝しつつもへろへろになりながら大滝を越え、その先にあるはずの理想郷へと突入する。しかし、なんと我々が目にしたものは岩魚のいない死の渓の姿であった。(そんなに大袈裟ではない)


 15m滝まであと少しといったところであったが、あまりの岩魚の無反応に疲れも増し、ここで納竿としテン場へ帰ることにした。


エロ滝の主




 またまた二日目も明るいうちの焚火が絶好調となり杯を傾けていると、下流を向いていた上田さんが「アッ、熊だ!」と叫んだ。なんと100m程下流に左岸の支尾根からおりてきた体長1mの若熊(寺尾談)がこちらに気付く様子もなく沢をうろついていた。寺尾さんが「ナイフを用意して!」と叫んだが、他2名は反応するわけもなく、「おーい」と叫んだ寺尾氏の声にこちらへ顔を向けた若熊は、ゆっくりと右岸の森の中へと消えて行った。


 胎内川での釣り人社「渓流」の取材時や、昨年の赤崩沢釣行ぶりに熊との対面となったが、距離もあり3名ということもあってか、じっくりと観察することができた。一人の時にばったりという場面では、とても落ち着いてはいられないだろう。ラッキー!


 その後は、寺尾氏特製岩魚のべっこう寿司や、極太のみずな炒め、油揚げと白菜炒め、鶏肉とオクラのポン酢和え等々最高のつまみに、昨日焼き枯らした岩魚の骨酒をいただきつつ、本日も仕事きっちりの3名でした。


ゴルジュも天気が良ければ素晴らしい景色です


私にも渓んぼ妖精がほほ笑んでくれました


     
  岩魚の焼き枯らしと製作者

 
 



 

翌日も完全に二日酔いの2名は全くの学習効果なし、またもや上田さんに6時にたたき起こされ、モーニングコーヒーをごちそうになり、朝食とする。豚ロースの味噌漬け・納豆・ベーコンエッグ、と豪華メニューで腹一杯となる。


 撤収ののち、滝のほとんどを泳ぎ下ってバックウォータにて昼飯の豚バラ燻製入り超高級中華三昧を食し、車止めまで。


 帰りも蛭に吸い付かれたのは、なぜか寺尾氏のみであった。

  最高の3日間を与えてくれたこの沢に感謝!。

  また秋に来てみたいとしみじみ思わせる最高の釣行でした。


(ひらえ まこと)
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