二日目。夕方には台風が来ると予想しているので、1泊で帰らなければならないのが非常に残念ではあるが、ほとんど快晴の中、名残を惜しみつつ撤収とした。
30分ほどで、支流出会いに到着、流れが細くなり涸れるあたりで踏み跡を発見した。「こんなところを歩く“ばか”もいるんだね」と呆れながらもよくよく思い返してみると、昨日自分たちの歩いた跡であった。やはり我々は生え抜きの“ばか”なんだと、改めて認識させられた。
午前中のうちに登山道までたどり着き昼飯としたが、安斎君と私は余った酒で小宴会を開いていた。先に下山するという2人を送り出し、小1時間ほど残った焼酎やウィスキーを飲みながら、朝飯の残りで作った贅沢弁当をつまみにまったりする。
そろそろ本格的に酔いが回り、ここでビバークも辞さない気分ではあったが、仕方なく下山することにした。2人で駆け足で下り、はまなべさんと上田さんを追い越し、3合目付近の左カーブを曲がったとたん、がさがさと大きな音を立てて消えていった藪の中から「ううーっ」と唸り声がする。野尻さんだ!、いや違う、熊だ!!。慌てて後ずさりし大きな声で「おーい」と何度も叫ぶと、唸り声も聞こえなくなった。それでも恐る恐る藪を遠めに眺めつつ様子を見ていると、安斎君が追いついてきた。
それからというもの、曲がり角の度に「おーい」と大声を掛けながら通過し、小屋に辿り着いた時には声も嗄れるほどであった。
全員が小屋に到着すると、待っていたように風が強く吹き荒れて、雨も降り出した。しかし小屋の軒下で沢水に冷やしたキンキンのビールで乾杯し、日本酒などを飲み始めると、天気などどうでも良いといった感じで、テンションも上がりっぱなしである。
それまでは軒下で寝るつもりであったが、あまりの雷雨・強風に、小屋の親父が「宿泊客の食事が終わったら、土間を使ってもいいよ」といってくれたので、お言葉に甘えて遠慮なく使わせてもらった。
明日に朝日小屋まで登るという女性6人組みに気を使って小声で話しているが、そこは酔っ払い、ついついボリュームも上がってしまいがちであったが、ちゃんと眠れたのであろうか?御迷惑をおかけしました。
翌朝も雨があがらないまま、登山客を見送りつつだらだらと酒を飲み続け、結局昼前にタクシーを呼んでもらい北又小屋を後にした。
来年は小屋泊り二泊で宴会だー!!