Fishing2017釣行記 想い出の渓【前編】
想い出の渓
【前 編】
 
  
[報告者]本宮和彦 
釣行日:2017/9/2〜3
 メンバー:上田勉、寺尾一木、板坂拓
 三瓶こずえ、本宮和彦
 
 
 
 
 渓流釣りを始めた当初、行き先など今ほどインターネット等での情報収集手段はなく釣り雑誌や地図を目安に半ば行き当たりばったりの入渓を繰り返していた。

 今回訪れた沢は数えて15年ほど前、イワナを数多く釣った覚えはないが泳ぎ・高巻き・雪渓処理など自己鍛錬の場として私を育てくれた言わば先生のような沢である。





 6月のある日、ふとこの沢を思い出し今回の計画を一人で練ってみた。入渓点・テンバ・遡行・魚止め等々考え始めたらきりが無い。都度会う方にそれとなく誘いを入れて今回のメンバーと相成った。

 

 当日の天候が読めない為ギリギリまで判断を遅らせ、集合当日(金曜日)朝、メンバーへ決行の連絡を入れる。仕事もそそくさとこなし集合場所へと急いだ。

さあ、ルートを確認して出発準備


     



 眼下の流れにひとしおの懐かしさを覚え、流れに降り立つとその気持ちは一際深くなる。

 瀬の弛みにはキレイなイワナが泳ぎ、森の深さは微塵も姿を変えていない。


 


予定通り(?)の入渓地点



 降り立つ流れに感嘆の声を洩らし、さあ先へと進むと瀬尻に走る影を見つけ竿を出す。

 釣れてきたイワナはリリースサイズ。大きさなどどうでも構わない。

 何年か前の新潟方面を襲った豪雨でこの渓も壊滅的な打撃に見舞われ下流部の集落をも呑みこむ激流はその地形を一変させていた。それ故にこの一匹が事の他嬉しい。
 



一投目で小さいながらも可愛いイワナが釣れた
この瞬間が嬉しい



この沢のイワナは美形揃い


開けた瀬に毛ばりを振るこずえちゃん




 

 上田さんの一声でテンバを決め、流木を集めタープを張り、一言 久しぶり と呟き祝杯をあげる。ブナの太い幹とミズナラの巨木を眺めながら流れを進む。


 穏やかな流れは両岸狭まり、珠玉のゴルジュ帯を形成している。進退極まる圧倒さはなく渓の上を流れる雲のようにスムーズな遡行が楽しい。



 



悠々と泳ぐイワナを狙う上田さん


ゴルジュ帯を釣る板坂君
さあ、釣れるかな?


     
  上田さんが釣りあげたイワナを放します


 
 
     
   明るいゴルジュ帯を腰までつかりながら


 
     
  冬の豪雪と雪シロに磨かれた岩肌


 
 


 ゴルジュ帯を抜け暖かいラーメンで腹ごなし。目前の淵ではせわしなくイワナ達が白泡の中から出たりまた入ったり目を楽しませてくれる。


ゴルジュを抜けての昼ラーメン


浅い流れにも数匹のイワナが泳ぐ
テンカラにもってこいの渓相


     
  魚止めはまだまだ先
次回のお楽しみに取っておきます


 
 


 小さいながらも生きながらえて来たイワナ達の姿に深い喜びを感じ流れに返す。メンバーからも口々嬉々とした声が聞かれ再訪の約束に流れを引き返した。



 テンバまでは淵を飛び込み泳ぎさっさと下りましょうとばかりに先を急ぐ。


必要以上に水を怖がらない事も大事です







 テンバで着替えを済ませ薪に火を灯せば後はのんびり宴会料理の準備。

 銘々の時間を過ごし明るいうちから何度目かの乾杯に笑いがこだまする。


 満天の星空と尾を引く流れ星を邪魔するかのような名月に宴も楽しく、旨い料理と焚火の暖かさに15年前の若かりし頃がとても懐かしい。
 
 尽きぬ話、これまた特別でめったに聴けない上田さんの唄と宴は止めどなく続き気がつけばいつしか焚火の前で撃沈。(最後まで寝ていた寺尾さん、風邪ひかなかったかな?)


明るいうちから宴会開始
まあ、のんびりやりましょう


     
     
  

 快晴の朝を迎え、栄養満点の朝食を取り無事撤収作業。今回の最終日は次回の来訪の前日とばかりに後ろ髪も引かれる事はない。

 




 いつも気になる、しかし遠い存在だったこの渓に足を踏み入れた私の15年という時の流れを静かにまた動かし始めた。

 次回はあの先を目指し満足の遡行を完了したいと思う。


 家で残り少ないカレンダー休日を見ながら今度はどこまでいけるかなと一人ほくそ笑むのであった。






 


(ほんぐう かずひこ)
BACK HOME TOP
                          Copyright (C) 2005 utsunomiyakeiyukai. All Rights Reserved.