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Fishing>2006釣行記 悲願の夢達成 「小手沢には行かないぞ」の巻 |
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悲願の夢達成
「小手沢には行かないぞ」
の巻 |
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[報告者] 平江誠
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メンバー:上田勉、本宮和彦、平江誠
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オリンピック開催も危ぶまれる最中、会場での工事を止める訳にもいかず、本来であれば移動日は1日もしくは午後有給を使ってののんびり移動のはずが、21時15分自宅出立という慌ただしいスタートとなった。
ETCカードにものを言わせ、自宅から5分の入間ICより快適に飛ばし、那須塩原IC下車、集合場所の安越又川のとば口に到着となった。
マルヒトサンマル
まるでキャンプ場のようなブルーシートで拵えた快適な宴会場で上田氏と本宮氏の歓待を受ける。上田氏は17時から飲み続けているという。2度目の乾杯で更に盛り上がり、寝袋に入った時間も不明となった。
翌朝、いつものように上田氏にたたき起こされる。
「おーい!平江ちゃん、もう7時になるぞーー!!」
寝ぼけ眼で腕時計を見ると、なんと8:50ではないか。慌てて飛び起き上田氏に
「もう9:00じゃないですか!」
上田氏
「何言ってんだよ、7時だよ」
結局私の時計が、今までの「戻ってきた釣行」や「爆釣・小手沢林道歩き」等々の忌まわしき怨念が幽谷安越又の強烈な磁場と重なって狂わされたのであろうか、まるで灼熱のニューカレドニア(UTC+11)のような熱気を感じた気がした私であった。
ちなみに「戻ってきた釣行」とは、道行沢を詰め尾根を越えることなく周遊し、見事元の入渓点へと戻ってくるという高度な技術を要する釣行のことをいう。
ついでなので「爆釣・小手沢林道歩き」も紹介しておこう。
これまた道行沢を詰めあがり、尾根を越えたはいいものの、梯子沢ではなく雪渓に埋まった小手沢源頭を滑落のスリルを味わいながら下降し、素晴らしく長く楽しい林道歩きもついてくるという、なんともワクワクが止まらない釣行のことである。
ちなみにU氏は、単独で小手沢林道歩きを満喫するほどの熟練者でもある。
普通では経験したくてもなかなかできない「山越え~ず釣行」をここ5・6年上田氏と続けているのだが、そろそろこの楽しい釣行に終止符を打つべく、取り扱いにも慣れた「やまっぷ」を携え(今回は那須塩原にて活動開始済)、工事中で立ち入り禁止の林道を歩き始めた。
林道は一部40度程の傾斜はあるものの車なら10分程度で道行沢出合いに到着できるのではと思えるほど広く平らに均された高速道路が道行沢手前まで続いており、出合いの以前使っていた(使わされた)まっ平で快適なテン場も崩れて無くなっている状況であった。小休止ののち道行沢へと突入する。
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「上田さん!あれほど右折厳禁て言ってるじゃないですか!!」
「ごめんごめん 笑」
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天候は生憎の雨、とはいえ土砂降りを想定していたので意外と遡行には快適なしとしと雨である。危険な箇所もなく一つ目の分岐に到着。沢はどう見ても右が本流、左が支流といった感じで、当然右に行きたくなるところであるが、“やまっぷ”を確認すると、やはり地図上の水線は左を差している。
以前上田氏と来た時は、ただのカメラと化した携帯とバッテリーのおかげで、迷うことなくすんなり右の沢へ進んでしまった。小手沢に出るのは当然である。その時はなんで小手沢に出たのかが分からないままであったが、なるほど納得がいった。やはり持つべきものは文明の利器である。
今回は事前の打ち合わせ(昨夜の飲み会)時に右折厳禁を二人に申し渡しているため、迷うことなく左の沢へと足を進めた。源頭に近づくにつれ水も無くなり尾根歩きとなったが、見覚えのある蜜藪と蔓地獄に陥ってしまった。
右斜面に降りようとする上田氏に、
「右斜面を下降すると、また周遊コースだよ」
とくぎを刺しながら、再度右折禁止を言い渡す。3・40分ももがいただろうか、急に視界が開け雪渓が飛び込んできた。
やっと乗越しの尾根に辿り着いたのだ。巨大な熊の糞を確認して、右側のコルへと下り、下梯子沢へ向かって蜜藪へと突入する。
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稜線上のブナの大木と上田氏
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何度もの挑戦に屈せずついにたどり着いた二人
(後方には巨大な熊の糞)
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初参加で無事稜線へ
後方に見える尾根を下れば念願の?小手沢ルート
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下降を始めてすぐに沢型が現れ、自然と源頭へと導かれる。快適に沢を下っていくが意外と長い行程に疑問が湧いてきた。すかさず「やまっぷ」で確認すると、なんと上梯子沢の支流にいることになっている。てっきり下梯子沢のつもりでいたのだが、どうやらひと尾根手前に下降したらしい。
気を取り直し下梯子沢出合いを目指して進むことにするが、この頃から上田氏がやたらと膝に手を置き深く反省を繰り返すようになる。なるほど上田氏ほどになると里だけでは飽き足らず、源流に来てまでも日ごろの悪行三昧を振り返り悔い改める必要性があるんだなと一人納得。
と思ったら、ビールを大量に持ちすぎて単にばてているだけであった。またまた納得。
早く下梯子沢出合いのテン場で休みたい(飲みたい)我々は、早足で沢を下るのだがいつまでたっても辿り着かない。またまた「やまっぷ」で確認すると、すでに下梯子沢出合いを500m程すぎている模様。全く気が付かないまま通りすぎていた。
気を取り直し、一段高くなった土手の上に3人ならば快適そうなテン場適地を発見、すかさずねぐらの設営と薪集めを済ませ乾杯とする。16:00
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開けた焚火と蜜藪のテンバ
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上田農園産の今が盛りのインゲンと揚げに今回初挑戦のあさりを投入した煮物をつまみにビールで乾杯するが、念願の黒谷川に辿り着いたことで気分も高揚し、
「ビールで乾杯するとテンションが上がるね!」
と言いつつ何度も乾杯を重ねるが、ずっとビールの上田さんはテンションが上がりっぱなしなのである。
昼飯用に携帯していたおにぎりがいつも余ってしまい焼却処分としていたが、最近ではそれを翌朝雑炊にして食べるのが私の中での流行りであった。今回も余った4個のおにぎり(味はばらばら)を雑炊にしたのだが、上田氏調理の煮物のあさりだしと卵を投入した結果、料亭“黒谷川”の見事な味となった。皆さんもお試しあれ!
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名付けて
「絶品上田インゲンアゲアサリおにぎり4個雑炊黒谷のおばさん風卵を添えて」
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調理中の私
いつものカメラ目線!!
腕には磁場の影響を受けたニューマケドニア時計
(UTC+11)
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私が上によりを掛けて担いできた
牛肉・ピーマン・パプリカをつかった
チンジャオロースー
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時間も12時近くなり餌も無くなったので昼飯とする。お湯を沸かしている間に支流で上田さんがテンカラで釣り上げたまあまあのサイズを刺身におろし、ウィスキーで乾杯する。
濃くなりつつある木々の緑と快晴の青空と透き通った沢水に癒され、「部屋とワイシャツと私」を口ずさみながら、
ウド入りラーメンで満腹となった。身も心も満足しテン場での2次会へ向けご帰還とする。
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気温が上がると雪シロが溢れかえる
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新緑の渓
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ラーメンで昼飯
(鼻歌交じり)
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ではと私がさばいてみました
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赤身が絶妙な源流イワナの刺身
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渓を見下ろすブナの巨木
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左の本家と共に普段の行いを反省する私
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新緑と抜けるような青空
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豪勢な焚火に、ついつい歌いだし始めた2名は、気勢の上がらなかった昨晩を挽回するかのように飲み、叫ぶ中、一人上田氏は明日への体力を温存すべく惰眠をむさぼり続ける。珍しく私も23時には
「明日帰ったらヤリます!」
の和彦宣言を聞いたのち安心してシュラフへ潜り込み、陽が昇るまで意識が戻ることはなかった。
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ようやくイワナ料理?に取り掛かり焼き枯らしなど
とおもっていたが結局本宮氏のお土産に
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焚火の脇に陣取り草を抱えながらカメラ目線の私
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最終日も薄曇り程度で雨はなし。
早めの撤収で本日中の帰宅を目指すが、昨晩盛り上がりすぎて携帯(やまっぷ)の充電を忘れてしまった。充電完了後やまっぷを起動すると「現在地を読み込んでいます」の表示と、例のぐるぐるが回っている。
「やってしまった」
これで小手沢などに行こうものなら、死ぬまで渓流界の笑いものになってしまう。
それだけは嫌だ!、どうしても嫌だ!!
そんな思いが天に通じたのか、しばらくするとやまっぷに現在地が表示された。
「これで間違いなく小手沢には行かないで済む」
安心したのか便意を催し用を足す。
下梯子沢出合いを見逃さないよう注意していたつもりであったが、やはり通り過ぎる寸前だったようで、上田氏の
「これじゃねーの」
でなんとか通過を免れた
快適に下梯子沢を詰めあがるが、水も大分減ってきたあたりで水量1対1の二股が現れた。上田氏の
「この尾根を登ろうぜ!」
の提案に、ここから
「First Take」
の始まりを覚悟した。
何Takeまで続くのかが分からないだけにかなり不安である。
そんな不安をよそに明確な支尾根を登り続けること2時間、なんとか尾根頂上にたどり着き、乗越しポイントを探しあてると、ここから一気に下降を開始する。
下り始めてすぐに急斜面の雪渓が現れるが、なんとかクリア。ここにはまだフキノトウや食べごろのウドがにょきにょきと生えているが、それには目もくれずひたすら道行沢出会いを目指す。
途中テン場で拵えてきたおにぎりを頬張り英気を養い、なんとか道行沢出会いに到着した。あとは休工中の真っ平らな高速道をひたすら歩くこと1時間、車止め到着となり今回の悲願黒谷川釣行感動のフィナーレとなった。
これでしばらく道行沢へくることはないんだと思うと、達成感もさることながら少し寂しい気持ちになった私でした。
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(ひらえ まこと)
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