Fishing2022釣行記 岩魚のパラダイスを求めて! 新規乗越ルート開拓
岩魚のパラダイスを求めて!
新規乗越ルート開拓


     
  
[報告者]黒須悠輔 
釣行日:2022/7/16〜18
 メンバー:平江誠、大貫和之、黒須悠輔
 
 
 
 

梅雨明けが発表されたあとも各地で梅雨のような天気が続いていた。本釣行地域の天気予報を見ても悪天候が予想され中止になりかけたが、平江さんより沢通しではなく、山を乗越して釣り場に降りられそうなルートがあるとのことで予定通り決行となった。

その釣り場はおそらくここ数年は誰も入っておらず、岩魚のパラダイスになっているかも…とのことで期待が膨らむ。ただし過去にそのルートで誰かが歩いたという情報は無い。地形図の等高線間隔などから地形を推定して歩けそうな道筋を探りながら、新規ルートを開拓していくことになる。(ワクワクするね)


事前に地形図でルートを確認していたため、ある程度の困難は覚悟していた。しかし実際は地図に無い滝や急傾斜が連続したため往復で18時間の登攀(6割が山の立ち木につかまりながらの乗越)を要し、予想を遥かに上回る過酷さが待ち受けていた…。(いやぁ〜痺れた!でも、ここ数年で一番楽しかった!!笑)




【1日目】

天気は晴れ。数日前の予報だと雨の可能性が高かったが、テンバに着くまでは降らなそうだ。まずは一つ目の乗越しをするために沢筋を詰める。歩いて20分程すると、両岸が切り立ち狭くなってきた。平江さんが、「いやぁ、滝が出てきそうだなぁ…」

と言う。その言葉通り滝が現れた。(地形図では滝記号無し)



滝が出てきそうだなぁ



やっぱり滝が現れた



平江さんが先陣を切ってザレている左岸を高巻く。大貫さんが続くが、登りきる直前に落石発生。直径50cm程の岩がいくつも転がってきた。私は真下にはいなかったものの、かなり転がってきそうだったので、落石を見ながら安全な所に逃げた。


1人ずつ左岸を高巻く


ザイルを使い再び沢に降りる


アズマヒキガエルが沢を泳いでいた

他のヒキガエルと比べ鼓膜が大きく、目との間隔が近い)

水線で突破


沢登りの途中、小さなハプニングがあった。私が大岩を踏んで体重を掛けたとき、ゴロっと岩が落ち足元が抜け、そのまま1m落ちた。受け身をとったので腕を軽く打撲する程度で済んだが、少しヒヤッとした。

(いきなり全体重をかけたのがダメだったと反省)
 


水は無くなり詰め上がる


 

出発してから3時間で沢を詰め上がり尾根に出る。そこからなるべく高度を上げないように(山頂に行く必要は無いため)トラバースし目的地を目指す。ヤマビルに首を吸血されながらも2時間で全行程の中間地点にある沢に降り立つ。


大貫さんは前の週に体調崩したらしく、最初は足取りが重かったが、徐々にエンジンがかかってきて、沢に降り立つ頃には、いつもの健脚さを取り戻していた。さすが俺のアニキ!!



 
 
尾根で休憩


「気持ちぃ〜〜」と股間を冷ます平江さん

(最高の笑顔ありがとうございます!)


大貫さん、いつもの勢いを取り戻す!

(ナイスポーズありがとうございます!)


二俣にて休憩




ここからが一番の難所。沢を左岸側に乗越して、更に隣の沢に降り立たなければならないが、両岸は切り立つ岩壁でありとても登れそうにない。しかしここを越えなければ目的地に辿り着かないため、下流に下りながら登り口を探す。しばらく歩くと段々の岩壁になっているところがあり、「ここから登ろう」となった。平江さんが、何の迷いもなく先陣を切って様子を見にいく。流石です。




左岸を乗越したいが登れそうな所が無い


ヘイケボタルがザックに留まる

(他のホタルと比べて黒い模様が後方まで伸びる一本の筋)


「行けそうだ」と先陣を切る平江さん


崖の上で休憩


落ちたら天国行き


山の新緑が美しい


   

無事に2つめの乗越を終え、目的地の本流に合流する沢に降り立つ。あとはこの沢を少し下ればゴールだ!!

「やったー!もうすぐだー!」と大声で叫ぶ。


しかしこの川は本当に我々を楽しませてくれるもので、更に困難を与えてくれた。本流まで目と鼻の先というところで、降りられない滝が現れた。(これも地図では全く分からない)

 

 

まだまだ元気なお二人

(カメラ目線ありがとうございます)

「本流に滝で合流するなんて聞いてね〜ぞ〜」と平江さん


ザイル20mは持っているが支点が無く降下できない


右岸から本流に降り立ち、ついに目的地到着!


   

出発から9時間でようやくテンバに到着。素早く薪を集め、テンバ設営を済ませ、とにかく乾杯!


宴会は夜11時前まで続いた。そして料理を食べ終えたころ、ついに雨が降ってきた。行動途中に降らなくて本当良かったと思う。


 

大貫さん特製「エリンギと鶏肉のバター包み焼き」

鶏肉がプリプリで酒のつまみに最高でした!!

平江さん特製「黒胡椒の極厚ステーキ」

赤身の肉々しい美味しさに疲れ切った身体が喜んでいました!!


一緒に困難を乗り越えたメンバーだからこそ宴会が楽しい!






【2日目】

いよいよ釣りだ〜!!(*’ω’*)

胸が高鳴る中、テンバからすぐの淵で第一投。ブドウムシをゆっくり流すと、目印が引かれた後に沈み込んだ。バシッとアワセると力強い引きで岩のえぐれに潜り込もうとする。それを寸前の所で抑える。水流の中で暴れる岩魚を水面に浮かせ、息を吸わせて落ち着かせた。そしてスゥーと寄せてキャッチ!


サイズは31cmの良型で幸先良いスタートとなった。その後も竿を出せば尺近い良型が何本も釣れ大満足。なんて素晴らしい渓だろう。(すべてリリース)
 

尺物に「ここまで来て良かった〜」と喜ぶ私


テンカラで淵を攻める大貫さん


大貫さんの毛鉤を咥える岩魚


平江さんも良型を連発

(私と大貫さんにポイントを譲って頂きありがとうございます)


小滝で岩魚を釣り上げる平江さん


   

テンバから2時間ほど釣りあがると、なんと大滝が現れた。落ち口から水面までの落差は少なく見積もっても20mはありそうだ。

平江さんが不思議そうに、
「なんでこんなところに大滝があるんだ?」と言う。

そう、我々は事前に得ていた情報より、滝を超えるルート、つまり最後に越えた沢と本流の出会いから少し下ったところにあるはずの大滝を越えて本流に降り立つ新規乗越ルートで来たはずなのである。これを高巻くとなると1時間以上かかりそうだ。残りの時間と、帰りのルート確認を行うためにも高巻きはせずに、下流側に向かうことになった


 
予想外の大滝で記念写真「なぜこんなところに大滝が


下流側に向かう


木が掛かっているので飛び込む


   

テンバから30分程下ると大滝の謎が解けた。

曲がりくねった岩壁を前にして平江さんが、
「あれっ!この場所までは以前来たことがあるぞ。ここは川床がツルツルだから突っ張りで通過したところだ。はっきり覚えてる!」

つまり我々は大滝の上に降り立つ乗越ルートで来たつもりだったが、実際の大滝は事前情報で把握していた地点より数百m上流にあったというわけだ。(記念写真を撮影した滝)


とても残念ではあるが、情報も少ない場所なので、実際に来てみないと分からなかった。「次こそは滝上に降り立つぞ!」と皆で誓いテンバに戻る。



 
     
「この場所までは来たことあるわ」と平江さん


現地調査を終え、のんびり釣り上がる






【3日目】

初日の筋肉痛が残っているが、歩かないと帰ることはできない。気持ちを奮い立たせて、来た道を歩く。帰りは来た時よりも短時間になるかと思いきや、降りられそうな枝尾根を探したりして結局、来た時と同じ9時間も要してしまった。

無事に車に到着し、お二方とがっちり握手を交わし達成感に包まれる。

釣行後に握手を交わすことは礼儀としてよく行うが、初めて心の底から握手したいと思った。(過酷な行程をこなすことができたのはこのメンバーだからこそ!)

新しく買ったスベリ止めゴム手袋は、相当な数の立ち木につかまり支えとしていたため、所々破けて、凹凸が無くなりツルツルになってしまった。こんな事は初めてで、いかに大変な行程だったか実感。
 



熊が木登りした爪痕


ここに来れたのは平江リーダーのおかげです!
(カメラ目線ありがとうございます)


ミヤマクワガタのメス(やっぱりクワガタはいいねぇ)

(他のクワガタと比べて大きな大あご、胸部と上翅との境目が明瞭に凹む)


過酷な行程お疲れ様でした〜!

(最高のメンバーです!)





今回の釣行では携帯のGPSと地形図を活用したものの、地図に無い滝や枝尾根、沢筋が幾度も現れルート修正を余儀なくされた。そこから学んだのは、地図はあくまで大枠の情報と捉えるべきであり、結局は現地で山の形や植生、動物の歩いた後の獣道の方向などを総合的に判断し、自分の進むべき道を見出していかなくてはならないということである。

平江リーダー、大貫サブリーダー、本当にお疲れさまでした!そしてありがとうございました!ここ数年で最も達成感のある釣行(修行?笑)を経験させて頂きました。次回こそは滝上に降り立ち調査を行いましょう。


また釣行中にも話しましたが、私の直近の目標は「瀬畑雄三 岩魚止ノ滝シリーズ」で釣行する河川「早出川、黒部(柳又谷・北又谷)、堀内沢、三面川(岩井又沢・竹ノ沢)、八久和川」に現れる「魚止め」に行くことです。まだまだ技量不足は否めませんが、今回のような釣行を通して精進してきたいと思います。是非、お二方と一緒に挑みたいです。今後ともよろしくお願い致します。


 


体力が尽きる寸前だった私



 


(くろす ゆうすけ)
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