そして今想うこと | ||||
上田 勉
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退職したとたん、突然の直腸がんの宣告から残酷にも3ヶ月も待たされての手術について文章を書けと云う。 これこそ残酷である。 5時間あまりの直腸摘出手術から意識を取り戻し思ったことは神様はまだ生きろと云う事なんだなあと云う事。 そういえば同じ感覚は数年前の大川でも経験したことを思い出す。 7月中旬、笠堀砥沢川を光明山越えで入渓、支流金蔵沢から大川支流小又川西又沢を下降、笠堀ダムへ戻る2泊3日の単独釣行時、西又沢は滝が幾つもあり釣りどころではなかったが滝の上にもイワナが沢山いることだけは確認した。 ほとんどが泳ぎ下りで下流部最大のゴルジュ 鷲ケ沢出合下部の巾1.5bの左右壁に囲まれている場所へ何も考えずに足を取られるまま入ったところ、渦は下へ下へと巻きザックを背負っているにも関わらず沈みもがき、溺れかかったところ壁が目に入り3回ほど蹴って無我夢中で脱出。その時は流れに乗りながら 「助かった・・・ あ〜自分にはまだ寿命があったんだ」 その場所は6月に死亡事故が起きた現場だったことを後に知り背筋が寒くなったことを思い出します。 (一応、釣りの会なのでその時の写真も載せておきます) 【光明山登山道より笠堀ダムをのぞむ】 【 砥沢川金蔵沢10b7bの滝】 【小又川二又より西又沢をのぞむ】 【小又川合流点より下流部】 人間ドックでの大腸検査を受けポリープ発見と云う事で県立がんセンターへ転院。再検査を受診したところ内視鏡を入れた途端のがん宣告。先にも書いた通り大げさなようですが、死を見つめて悶々と3ヶ月感の恐怖をたっぷりと味わい、気の弱さからか眠れない日が続きました。 担当医いわく 「上田さんより重症の患者さんが沢山おりますのでその人たちが優先です」 手術後は暫くは山へなど入れなくなる不安な気持ちをかき消すようにいてもたってもいられず、栃木の渓、成瀬川北ノ岐川、青森津梅川と入渓。気持ちの整理などつけられるはずなど一時的でも病気の事を忘れさせてくれたことに感謝しております。 手術の結果は良好で、もうすでに9月末の泥又川釣行にも参加が叶い本調子にはまだまだというところですがナメコ採りで歩く機会をできるだけ多くする努力をし、来シーズンこそ山釣りに熱中できることを夢見て気力と体力を充実させたいと考えています。 暗い話になって申し訳ありませんが何事にも健康が大切です。最低限の検査だけは是非受けて健康管理には気をつけましょう。 それにしても麻酔・手術と初めての体験は恐怖の連続でした。人工肛門の可能性もあったことを考えると運が良かったとしか言えません。それと同時に家族はもちろん、友人の皆様にも多大なご心配をお掛けしました。 今後は自分の年齢を自覚した行動も必要ではないかと今回初めて考えさせられました。
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